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「日本にはまだ磨いてない玉がたくさんある」コロナが暴いた日本の“実態” 危機をチャンスに変えるには…

ロバート・フェルドマン×ちきりん 社会人の学び直しが日本を強くする

70歳を超えて働ける「学び直しシステム」が必要

ちきりん こうした人たちが集まって住めるような、高齢者用シェアハウスか集合住宅を増やせば、家賃はある程度安くできるでしょう。孤独だとパチンコやお酒で浪費しがちになるけれども、みんなで朝からワイワイ話していれば、孤独にもならないしお金もかからない。

ロバート 貧困から抜け出せない原因のもうひとつは、教育です。リカレント教育、つまり社会に出てからの学び直しが十分になされないため、知識やスキルが上がらずに稼げない。たとえ勉強したくても、お金がなければできません。そこで私は、生活保護のような補償で、技術面で遅れてしまった中高年を国がサポートすべきだと思います。

ちきりん 確かに、自分の稼ぎだけでは生活に目一杯という人でも、追加で10万円もらえたら自分に投資できますよね。22歳までに学んだことで、70歳までずっと働き続けるなんてもはや無理ですから。

ロバート 76歳まで生産性高く働けるための、学び直しのシステムが必要です。私は2017年から、東京理科大大学院の経営学研究科で、社会人を相手に教えています。

 今年の学生の平均年齢は43歳で、60代の人もいます。最近はZoomで授業をしてますけど、学び直そうという意欲はみなさんすごいですよ。

 

ちきりん かつては「安定した大企業に22歳で入れるかどうか」によって人生が決まっていました。いまは大企業でも、50代半ばの役職定年で給料をバーンと下げられ、60歳の再雇用でさらにドーンと下げられます。

 だから私は繰り返し、「個人としての稼ぐ力が必要だ」と言っています。キャリアの途中で学んでまた働ける欧米型がベストだと思いますけど、最近はオンラインでも新しい勉強ができます。年代ごとに学び直しができるよう、社会的な仕組みができるといいですね。

努力が報われる制度に

ロバート その通りです。日本の労働市場は、二重構造です。終身雇用も日本独特で、「壁のない刑務所」です。正規雇用の人たちは、居心地がいいしお金も残るから居続ける。けれども、スキルアップやキャリアアップができません。

ちきりん 教育の本当の目的は、貧しい家に生まれた子どもが貧しさを引き継がなくて済むようにすることだと思うんです。ところがいまの日本では、塾に通うお金がなければいい学校に入れず、いい仕事にも就けない。この貧困の連鎖は、絶対に断ち切らなければいけません。

ロバート いい解決策がありますか。

ちきりん 私の提案は、英語でも中国語でもインドネシア語でもいいんですけど、他国の言語を一定レベルまでマスターしたら、それ以降の教育費は全部タダにするといった制度を作ることです。

 たとえば小学校6年生でTOEICの最高点を取ったら、中学校以降の学費はすべて国が負担するんです。大学も、早慶だろうと医学部だろうと全部タダ。もし2カ国語をマスターしたら、給食費や修学旅行や制服代もタダ。さらに3カ国語をマスターした子には、2年間の海外留学の費用も国が出しましょう、といった制度です。

ロバート 努力すれば誰でも報われる仕組みですね。