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「日本にはまだ磨いてない玉がたくさんある」コロナが暴いた日本の“実態” 危機をチャンスに変えるには…

ロバート・フェルドマン×ちきりん 社会人の学び直しが日本を強くする

35カ国中、最下位の日本の教育予算

ちきりん 我が家にはお金がないけれど、英語さえマスターすれば一円も払わずに慶應の医学部でも行けるとわかったら、勉強を頑張る小中学生はいっぱいいるはずです。語学に限らず、コンピューターのプログラミングで一定レベルになったら、といった他の条件でもいいでしょう。

 これだと国も損はしません。その子が将来発揮してくれるリーダーシップ、納めてくれる税金、生み出してくれる雇用を考えれば、お釣りが来ますよ。一方、大学を無償化しましょうという案には賛成できません。勉強したくない人まで大学に行かせても意味はないと思うからです。

ロバート その通りですね。あと、財政の構造がおかしいと思います。社会保障に使っている国の予算は年間130兆円なのに、教育はわずか15兆円ですよ。

 社会保障費では、年金と並んで問題なのが医療費で、年に43兆円です。

初等教育から高等教育の公的支出がGDPに占める割合
OECDの報告書「図表でみる教育 2019年版」より。ノルウェーが6.3%ともっとも高く、日本は2.9%と比較可能な35カ国中で最下位

ちきりん 医療費は、もっと予防に使ったら生産性が高くなります。歯の治療でいえば、年に一度クリーニングと虫歯チェックに行く人が虫歯になったときの治療費の負担額は一割。でも過去一年間、虫歯チェックに行ってない人は3割負担。予防努力に応じて負担率を変えるだけで、みんな予防に努めるはず。

 教育の話と同じで、努力すれば払うお金が減って、もらえるお金が増える仕組みをすべての社会福祉に組み込んだら、税金はもっと生産性の高い形で使われます。そこが設計できないというか、マーケット感覚がないというか。行政は、頑張った人も頑張らなかった人も同じという、一見平等に見える不平等な制度に固執しすぎですよね。

ロバート 厚労省の方にそういう話をしたことがありますが、答えが面白い。「それだと、国民皆保険じゃありませんよ」。何を言ってるんだ、と思いました。自動車保険だって、事故を起こしてない人は安いのに。

日本の偉い人はITをわかっていない

ちきりん ほんとにそうです。あと、今回の新型コロナの騒ぎを機に考えるようになったのは、公共の利益のために個人の自由をどこまで制限していいのか、ということでした。これ、国によってものすごくレベルが違いますよね。

 中国や韓国は、すべての行動履歴を政府に握られることを、国民が受け入れています。中国は共産主義だからですけど、韓国も準戦時体制が続いているので、国家が情報を握って当たり前だと国民は受け止めている。ああいうことは、日本では絶対できないと思います。

ロバート なぜ韓国はできて日本ができないのかという理由は、もうひとつあります。韓国のトップの人たちはITがわかっていますが、日本の偉い人はわかっていない。

ちきりん それも大きいですね(笑)。その一方、アメリカではマスク着用を義務付けるかどうかで国論を二分するような議論になりました。それくらいつけりゃいいじゃんって思うんですけど。

ロバート 私も思いますよ。言動が合っていなかった。ようやく7月中旬になってからマスクをつけることになりました。

ちきりん トランプ大統領がなかなかマスクをつけなかったのは、強いアメリカをアピールするための選挙対策ですよね。