「こいつら、盗みに入ってのんびり居座りやがって、本当にふざけてますよ」
栃木県足利市内の牛舎で監視カメラに映った“牛ドロボウ”の姿を見て、スタッフの一人はこう憤る。
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カメラに残っていたのは8月22日、鶴田一弘さん(57)が経営する牛舎での犯行の一部始終。午後10時20分過ぎ、白いミニバンで現場に到着した若い3人組の男が約30分かけて、生後1カ月にも満たない黒毛和牛の子牛3頭を盗み出した。周囲をキョロキョロと見回した後、立小便までしているという大胆さだ。
この牛舎では6月20日夜から翌朝にかけても子牛2頭が盗み出されている。
「2回も来るなんて本当に図々しい。牛は普通、生後8カ月で流通させますが、その際には1頭80万円ぐらいになります。何より母牛から手塩にかけて面倒を見て何とか妊娠させ、お産にも立ち会う。ある日突然、我が子がいなくなったような思いで悔しい」(鶴田さん)
さらにヤギまで被害に。同じ敷地内で牧場を経営する相沢明さん(68)が語る。
「5月20日から1週間の間に3頭盗まれた。2頭は血統書付きのオスとメスで1頭20万円ぐらい。草刈りをさせながら繁殖させるつもりだったんですよ……」