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「放っておけば悪くなるだけ」認知症の症状が改善しなかった人の特徴とは

『認知症 全部わかる!』より

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一度発症したら進行するのみと思われていた認知症だが、最新研究によれば、グレーゾーンの時期なら戻れる可能性があるという。それでは、認知症の症状が改善した人としなかった人の違いは何なのだろうか。(全2回の2回目/前篇を読む)

週刊文春 認知症全部わかる! 最新予防から発症後の対応まで」(文春ムック)

 認知症、MCI対策のデイケアや予防教室では、場所によってさまざまな療法を取り込んだプログラムが用意されている。具体的にどのようなプログラムが進められているのか。

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 金沢医科大学病院で認知症予防教室を開催している入谷敦・認知症センター副センター長が語る。

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「うちの教室では、MCIの方が中心で毎回20人ほどが参加し、認知症にならないための生活習慣を学んでもらっています。毎回2時間。月に2回、全8回がワンクールです」

 実際に教室に参加してみることにした。この日の参加者は60代から80代の男女十二名。

 まずは座学。次にコグニション(認知)とエクササイズ(運動)を合わせた、コグニサイズと呼ばれる国立長寿医療研究センターが開発した運動が始まる。

放っておけば悪くなるだけ

 ウォーキングなどの有酸素運動は、脳への血流を増やすだけでなく、BDNFという脳の成長に不可欠な脳由来神経栄養因子が分泌されるため、認知症予防に有効であることが実証されている。有酸素運動をしながら足し算や引き算などの計算をし、体と脳を同時に使うのがコグニサイズだ。

 色分けされたラダー(布製のはしご)を床に敷き、1マスずつ、できるだけ速くステップしていく運動もコグニサイズのひとつ。ラダーのタテ軸は赤、青、緑、黄の四色に色分けされており、「緑と青の時は、足を外に出す」などの指示があれば、その色のマスでは、マスの中ではなく外側をステップする。

 記者(47)もやってみたが、なかなか思い通りに足が動かず、いい汗どころか、冷や汗の連続だった。