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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

「殺したいとは爪の先ほどぐらいもなかった」松永の関与を巧妙に否定する“物語”

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #27

2020/10/06

genre : ニュース, 社会

 あらゆる手段を使って戦う、との姿勢を崩さない松永太弁護団の攻勢は続く――。

 2003年2月18日、同弁護団は、松永が少女の父親・広田由紀夫さん(仮名、当時34)殺人容疑で2月3日に逮捕された件で、その2日後の5日に発布された勾留状についての「釈明要求書」を、福岡地裁小倉支部に提出した。

 これは、勾留状に記載された被疑事実について、いまだに〈不明確であると思慮される〉として、いくつかの事項を挙げ、同地裁に釈明を求めたものである。

©️iStock.com

松永弁護団、由紀夫さん殺人の被疑事実について釈明を要求

 内容は以下の通りだ。

第1 被疑者(松永)らが広田由紀夫(以下「由紀夫」という。)を支配下に置いていたとする点について

 被疑事実中「(由紀夫の)自由を制約するなどして自己らの支配下に置いていた」とあるのは、実行行為に含まれるのか。含まれないとして、構成要件的には余事記載とみてよいか。余事記載ではないというのであれば、構成要件的にはいかなる意味を持つのか。

 第2 由紀夫の死因について

 被疑事実においては、由紀夫の死因は「多臓器不全」とされているが、多臓器不全が直接の死因となっているという意味か、それとも、間接的な死因となっている場合が想定できるのであれば(例えば、多臓器不全により衰弱したことで足元がおぼつかなくなり、転倒して頭部等を強打し、それが直接の死因となった場合)それも含むという趣旨か。

 第3 実行行為の内容について

 1 本件被疑事実の実行行為は、どれとどれか、具体的に指摘されたい。

 なお、不作為を実行行為として指摘する場合は、作為義務の発生の根拠となる、結果発生を防止する法的義務(単なる道義的義務では足りない。)をも明らかにすることを要する。

 2 被疑事実中「医師による適切な治療を要する状態に陥っていた」とあるが、被疑者らにおいて、由紀夫に対し、医師の治療を受けさせる作為義務があったとする趣旨か。

 そうでない場合、この記載は、構成要件的にいかなる意味を持つのか。

 3 同じく「その生存に必要な(「必要かつ」の誤記ではないかと思われる。)十分な食事を与えないまま」とあるが、被疑者らにおいて、由紀夫に対し、生存に必要かつ十分な食事を与える作為義務があったとする趣旨か。

 そうであるとする場合、作為義務の発生の根拠となる法的義務の内容は何か。

 4 同じく「身体の保温に十分な寝具及び暖房器具を与えることなく」とあるが、被疑者らにおいて、由紀夫に対し、十分な寝具等を与える作為義務があったとする趣旨か。

 そうであるとする場合、作為義務の発生の根拠となる法的義務の内容は何か。〉