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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/10/06

genre : ニュース, 社会

松永の陳述「殺したいとは爪の先ほどぐらいもなかった」

「そもそも由紀夫が死亡したことは間違いない。遺体を(緒方)純子と清美(広田清美さん=仮名)が解体したことも間違いない。容疑のなかで動機が最大の問題。まず当時、由紀夫を殺さないといけない理由はない。恨みもいささかもない。由紀夫に死んでもらいたいという気持ちもない。当日は月曜日で清美は学校。普通の生活が営まれていた。少女(清美さん)の授業態度などから証明できる。(由紀夫さんに)食事を与えずとあるが、たしかに生活費はいただいていた。最低限度の食事、カロリーメイトのチーズ、フルーツ、チョコレート味を毎日食べさせていた。牛乳300(ml)、砂糖大さじ1杯、バナナも毎日食べさせていた。それは無理やりではない。具合が悪いなら自分から進んで病院に行けばいい。無理やり病院に連れて行くことはできない」

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「通電、殴る蹴るの暴行、いたずらをやったことは、私は認める。刑事は調べで、『そんなことはどうでもいい。黙秘しろ』と言った」

「逮捕容疑についてはほとんど認めている」

「たしかに(由紀夫さんには)風呂場で寝てもらっていた。電気ストーブはやけどをするので、毛布、布団を与えていた。衰弱というのは私には見えなかった」

「多臓器不全について、腎臓・肝臓が悪くなったとあるが、7年前のこと。盲腸や胃けいれんならわかる。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれ、いつ発症してもおかしくない。腎臓も風邪をひいただけでも炎症を起こす。当時、医学知識もないのに、緒方とどうやって見抜けばよかったのか」

「殺意について、殺したいとは爪の先ほどぐらいもなかった」

「純子が供述しているが、内心のことはわかりません。妊娠中で由紀夫の世話は大変だったろうと思う」

「拘置するのならば、警察にとってマズイような内容でも調書にしてほしい。取り調べの規範にもそう書かれている。解体時の状態についてもきちんと調書を作成してほしい。殺そうとは思っていなかった。ありがとうございました」