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虚ろな目で遠くを見やる案里氏

 東京拘置所での勾留が続く夫婦は、被告席に横一列で座る。ただし、間には刑務官が2人おり、身を乗り出さないと顔を合わせられない。夫が逆上した瞬間、案里氏は前を向いていた。

 案里氏の頬は白いマスクで覆われ、顔色を窺うのは難しい。顔を動かすたびに浮き出る首筋の骨は、私が逮捕前に3時間向き合った時よりも目立った。開廷中、意欲的にメモを取る夫とは対照的に虚ろな目で遠くを見やり、しばし瞼を閉じる。それを見て、彼女が私の取材で向精神薬の服用を認めたことを思い出した。

河井案里参院議員

突然号泣した女性秘書

 証人席の女性秘書は、前日にあった検察の尋問では急に号泣した。参院選の公示前から大量の印刷物を地元有力者に配り歩き、無理を重ねた物量作戦を振り返りながら「どうにか案里さんを当選させたかった」と語り、悔恨を滲ませるように嗚咽した。秘書は「名古屋巻き」の黒髪、長い付け睫毛といういで立ち。体の線を強調したド派手な装いを封印し、就活生のような黒スーツを纏う被告席の“主演女優”より目を引く。

 検察官が読み上げた女性秘書の供述調書によると、広島県議だった案里氏の国政進出は「上昇志向が強いから驚かなかった」。克行氏の不人気ぶりも明かし、法廷では克行氏の性格を「すごく心配性」と証言。冒頭のヤジは、その本性に迫ったやりとりの直後に飛び出したものだ。