「としまえんを愛して頂き、ありがとうございました!」
8月31日夜、涙ぐむファンの前でそう呼びかけたのは「としまえん」(練馬区)の運営会社、豊島園の依田龍也社長。都民に親しまれた遊園地は、夏の終わりとともに94年の長い歴史に幕を下ろした。
そんな“感動のフィナーレ”から間もない9月14日。東京地裁で、ある悲しい事故の裁判が始まった。
「としまえんのプールでは昨年8月15日、小学3年生の森本優佳さんが溺死する事故がありました。事故後、優佳さんの遺族は、利用客を危険から守る義務を怠ったとして、豊島園、親会社の西武鉄道、水上遊具を製造していた業者、プールの監視業者の計4社に対して、約7500万円の損害賠償を求めて提訴したのです」(社会部記者)
優佳さんが遊んでいたのは「ふわふわウォーターランド」という水上遊具エリアで、水深は1.9mだった。行方が分からなくなったのは午後1時半頃。遺族によれば、父親は「水中も捜して欲しい」と監視員に求めたものの、迷子の窓口を案内されたり、午後2時まで待つように指示されたという。午後2時の点検時間になってから監視員が水中を捜索したところ、遊具の下で、うつ伏せの状態で心肺停止していた優佳さんを発見。その後、病院で死亡が確認された。
「としまえんは一旦プールの営業を休止しましたが、ふわふわウォーターランド以外のエリアは約1週間で再開させました」(同前)