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X子さんにレギュラーの仕事は1度も与えられなかった

 X子さんの別の友人Dさんが語る。

「X子はその後、しばらく決まった担当番組の仕事はありませんでしたが、日本テレビの制作フロアで他の番組の雑用などの仕事をしていました。広い社内ですし、Y氏とはもう顔を合わせることもないだろうと安心していたようですが、そのうちY氏は業務上の理由で彼女の働くフロアに頻繁に来るようになった。やはり顔を合わせるのはまだ辛いようで、X子は『会社からはその程度の問題としか認識されてないんだろうね……』と酷く落ち込んでいることもありました」

 そして、それ以上に問題なのが、日本テレビによるX子さんへの業務上の処遇だ。

「セクハラ問題後、局長は『X子さんがきちんと仕事をやっていけるような状況を作ります』と約束していたにも関わらず、2年近く彼女にはレギュラーの仕事が与えられていません。担当するのは単発の番組ばかり。慣れたスタッフで番組を作り込んでいくレギュラーの仕事とは違い、単発仕事はコミュニケーションもゼロからスタートで、大変なんです。番組の発注がいつ来るかもわからない日々で仕事がない時期もあったりで、宙ぶらりんの状態が続いていた」(同前)

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セクハラ告発で干される“悪い前例”をつくりたくない

 そして何よりX子さんが気にしているのは「自分のせいで、“悪い前例”ができてしまうんじゃないか」ということだという。

「X子がレギュラーの仕事が欲しいのは、自分の生活のためだけではない。セクハラ被害を訴えたら“干される”なんて前例を作るわけにはいかないから、何度も何度も日テレ側に『被害報告前と変わらず、レギュラーの仕事がしたい』とお願いしてきたんです。それなのに一向にその要望が聞き入れられることはありませんでした。これではセクハラ被害に遭った人が、会社に報告することをためらうようになってしまう。X子はそれを気にしているんです」(同前)

 X子さんは局長らに対してレギュラーの仕事を何度も希望したが、希望するバラエティ番組のポストに空きができても彼女に声が掛かることは一度もなかった。

「今春にも改めてバラエティ番組のレギュラー仕事に就かせてほしいと訴えたら『本来だったら派遣元の制作会社を通さないと仕事内容の話はできない』と言われてしまったようです。しかし、バラエティ番組ではないけれどなんとか別番組のレギュラー仕事が決まったんです。X子は『これから気持ちを入れ替えて頑張るつもり!』と話していましたが、異動先にはX子がいままでやってきた業務の担当者がすでにいて、X子には雑務以外の仕事がない状況でした。

 給料が支払われるならいいという意見もあるかもしれませんが、いまの社会だと女性の働ける年齢は男性に比べて限られている。結婚して、子どもを産んでとなると休まなくてはいけない時期もあります。X子は働ける状況にあるのに、この環境でいいのかと悩んでいます。『やる気があるのに働けないのは悲しい』と暗い顔をしていました」(同前)

 現在、X子さんにはこの状況を相談できる仕事関係者がいなくなっているという。

「当時、バラエティ番組でのレギュラー仕事を用意すると言ってくれた局長のZ氏は2018年12月に他部署へ異動し、約束してくれていた人がいなくなってしまった。制作会社にセクハラ被害を報告していなかったため今更相談することもできず、X子には訴える先がなくなってしまいました」(同前)