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韓国で“吐き気を催す本”と言われた「反日種族主義」 続編が迫った「徴用工問題」の核心

 日韓両国でベストセラーとなった『反日種族主義』。その第2弾『反日種族主義との闘争』が発売された。日本語版の刊行に尽力した久保田るり子・産経新聞編集委員が、本書の“核心”を綴った。

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『反日種族主義』の刊行は“事件”だった

 反日こそが愛国、まして学者の反日批判は「学者としての自殺行為」といわれる韓国で、『反日種族主義』の刊行は“事件”だった。

編著者の李栄薫氏

 編著者の李栄薫・元ソウル大教授らは強烈な抵抗と罵倒を受けたのだ。当時、政権中枢にいた曺国前法相は「吐き気を催す本」とこき下ろした。執筆陣のひとりは暴漢に襲われ、「売国奴」と暴言を浴びせられた。この1年あまりに刊行された批判書は7冊におよぶ。

「徴用工問題」の原告4人は徴用工ではなかった

 第2弾『反日種族主義との闘争』はこうした猛反発への再反論だ。実は前著の出版時から構想されていた。李氏らは、韓国史のなかで岩盤のようにぶ厚い「慰安婦は性奴隷」「徴用工は強制労働」などの通説を論破するには、守旧学者らとの激論が必須と考えたからだ。

『反日種族主義との闘争』(文藝春秋刊)

 本書で目を引くのは、日韓関係が悪化した核心、徴用工問題の検証だ。

 大法院(最高裁判所)は、2018年10月、新日鉄住金(現日本製鉄)に対して、原告である韓国人4人が戦時中に労働内容や条件を知らないまま、劣悪な環境で働かせられたことは「反人道的な不法行為」にあたると認定し、1人あたり約900万円の賠償を命じた。

 本書は判決の不当性を論証していく。資料を紐解くと、そもそも4人は自らの意志で募集に応じた労働者で、徴用工ではなかった。労働実態を調べると、賃金も支給されていた。

 また、判決は「植民地支配は不法」ということを前提にしている。しかし、本書は1910年の韓国併合や65年の日韓国交正常化の史実を検証し、大法院に対して「半世紀後に一国の司法部が相手国の国民に賠償を命じることはあり得ません」と断じた。