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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/10/20

genre : ニュース, 社会

「200万円貸し不審死 緒方容疑者の知人女性」

 じつはこの女性と子どもについては、今回に先駆けて、同じ『毎日新聞』(西部本社版)が、松永と緒方が逮捕されて約1カ月後の、2002年4月14日に、「200万円貸し不審死 緒方容疑者の知人女性」という独自の記事を掲載していた。そこには緒方に「夫が病気で手術代が必要」と頼まれた、福岡県筑後地方に住むこの知人女性が、200万円を貸してから子どもを連れて家出し、夫と離婚したことと、家出から11カ月後に死亡した際には、父親から借りるなどして計1200万円ほどあったはずの所持金のほとんどがなくなっており、死後の預金残高は3000円だったということが記されていた。

 そこに緒方の“なりすまし”の情報が加えられて、今回の記事の掲載に至っている。同記事によれば、〈母親を名乗った女性が書き残した申込書類を押収しており、印鑑の代わりに押した指印が緒方被告の指紋と一致した〉ことにより、緒方の関与が裏付けられたとのことだった。

(写真はイメージ) ©️iStock.com

 結論からいうと、この知人女性と子どもの死亡について、その後、捜査本部が事件化することはなかった。だが、この件については後の裁判でも触れられており、緒方のみならず、松永が背後にいたことも明らかになっている。そのため、改めて別の機会に詳述することを予告しておく。

緒方智恵子さん殺害で起訴

 3月18日、福岡地検小倉支部は、松永と緒方を緒方智恵子さん(仮名=緒方の妹)に対する殺人罪で起訴した。起訴状の公訴事実は以下の通りだ。

〈被告人両名は、他と共謀の上、平成10年2月10日ころ、北九州市小倉北区片野×丁目×番×号『片野マンション』(仮名)30×号室において、緒方智恵子(当時33)に対し、殺意をもって、その頸部を電気コードで絞めつけ、よって、そのころ、同所において、同人を窒息により死亡させて殺害したものである。

 罪名及び罰条

 殺人 刑法第199条、第60条〉

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

 この起訴を受け、松永弁護団と緒方弁護団は同日にそれぞれコメントを出している。

 松永弁護団は「松永被告については当然のことですが、緒方被告についても有罪とするのに十分な証拠があるかという点について、重大な関心を持っております」というもの。緒方弁護団は「殺意を含め、起訴事実を認める」というものだった。

 その10日後の3月28日に、松永弁護団が2週間ぶりの会見を開いた。弁護士は言う。