ベルギー・ブリュッセルの控訴裁判所が10月1日、彫刻家のデルフィーヌ・ボエルさん(52)を「王女」と認める判決を下した。
パオラ妃を妻にもつリエージュ公アルベールは1966年頃、道ならぬ恋に落ちる。お相手は実業家と結婚していたセリス夫人。ダブル不倫だった。セリス夫人は68年にデルフィーヌさんを出産すると、離婚し、娘とロンドンへ去った。
当時のアルベールは、国王の弟という立場。ただ、年齢から次の国王には、自身の長男であるフィリップ王子が予定されていた。
しかし、93年に兄が心不全で急死すると、運命は一変する。ベルギーではオランダ語圏の分離独立運動を受けて連邦制に移行する難局を迎えていた。年長者が必要とされ、アルベール2世として59歳で国王に即位したのだ。
ひた隠しにしてきたデルフィーヌさんの存在が暴露されたのは、99年に出版されたパオラ妃の伝記だった。その年のクリスマス、国王はこうコメントした。
「王妃と私は30年以上前危機に瀕していたが、困難を乗り越えた」
そして、04年、デルフィーヌさんは沈黙を破る。初めて取材を受け、「不当や偽善にもう耐えられない」「なぜ私は捨てられたのか、説明して欲しい」と訴えた。実は国王となってからもコンタクトを続けていたが、2001年頃に絶交したとみられる。
ついに娘は12年6月、認知を求め訴訟を起こした。