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「感染者数が増えると来客数が減るんです」 コロナで逆風続く立ち食いそば 梅島の名店二代目店主が語った“決意”

2020/10/13
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 今年はとにかく立ち食いそば屋消滅の年である。9月末までに、青砥の「青砥そば」、豊洲東雲の「てっちゃん」、田町の「丸長」、春日の「源太郎そば」、六番町の「ゆで太郎」、自由が丘・御茶ノ水・蒲田などの「そば新」が閉店した。「嵯峨谷」も神保町店・歌舞伎町店・西新宿店が閉店。「六文そば」も昌平橋店・浜松町店が閉店した。

 カレーがうまかった大森の「麦の城」、御茶ノ水の「明神そば」、大森の「信濃路」、市ヶ谷の「宇ち乃」、東中野の「えきそば」、銀座の「小粋そば」、そして、渋谷・本郷・神田西口・京橋の「小諸そば」も閉店。

 首都圏だけでなく、米原駅の「井筒屋」、甲府の「丸政甲府駅南口店」などが閉店となった。

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コロナ前に訪問した梅島の「雪国」へ

 自分のようにほぼ毎日、40年近く大衆そば・立ち食いそばを食べている人間にとっては、大変由々しき問題なのである。人生の唯一の楽しみの場所が音もなく静かに閉店し消えていくのは大変に辛いことである。

 Twitterのタイムラインにも営業を続けている立ち食いそば屋の店主の叫び声がよく並んでいる。頑張っている店も相当厳しいのだろう。

 コロナ前の昨年師走に訪問した梅島の「雪国」はその後どうなっているのだろうか。そこで、ようやく秋空が広がり気温も落ち着いてきた10月第2週の月曜日、午後2時頃に訪ねてみた。

去年と変わらない梅島の「雪国」

「雪国」は梅島駅改札を出たすぐの路地にある。駅前周辺は小さなビルが密集して下町風のエリアである。入店すると店主の山田勇さんが笑顔で迎えてくれた。しかし、開口一番、店主から発せられた言葉はつらいものだった。そして、いくつか質問をしてみた。

元気そうな店主の山田勇さん、でも開口一番……

――お店の売り上げは?

店主:とにかく厳しいです。店の売り上げは、前年同月比で3-4割減が3月あたりから続いています。最近になってやや持ち直してきていますがまだまだ低迷しています。それと面白いのですが、東京都の感染者数が200人とか超えてくると来店者数が減ります。つまり、感染者数のグラフに比例して来店者数が上下して推移しています。

――お店の客層とかで変化はありますか?

店主:お年寄りのお客さんがめっきり減りました。そして、若いお客さんが増えましたね。

 だいたい梅島の街に日中歩いている人が少ないです。特に緊急事態宣言がでている頃は閑散としていました。