昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/10/09

 筧容疑者の周囲をたどると、以前から評判は芳しくなかったことが分かる。自宅は勤務先の集配センターから車で5分ほどの団地にある。近隣住民が声をひそめる。

「別の棟で母親と弟と一緒に住んでいたが、2年ほど前に筧容疑者だけ今の部屋に引っ越した。近隣との騒音トラブルと聞いています」

ヤマト運輸本社ビル ©AFLO

 かつての勤務先で同僚だった男性も「酒は飲まんが気が短かった。辞めたのも会社の敷地内で車の運転をミスって社長に怒鳴られ、キレ返したから」と振り返る。警察関係者によると、過去には警察官相手に手を上げ、公務執行妨害で逮捕されたこともあった。

ヤマト運輸が訳ありの人物を雇わなければならなかった事情

 ヤマト運輸も最終的に手を焼いて解雇を言い渡すことになったのだが、「こうした訳ありの人物を雇わなければならない事情がある」と、ある関西地方のヤマト集配施設関係者は言う。

現場となった「ヤマト運輸 神戸北鈴蘭台センター」

「コロナ禍で苦境にあえぐ企業が多い中、通販利用増加で業務量は増えています。3年前に従業員への未払い残業代問題発覚後、働き方改革の一環で通販大手アマゾンの荷物取扱量を減らしましたが、人手は慢性的に足りず、特に荷物を仕分けたり配送したりする集配所は猫の手も借りたい状況。雇用するパート社員の経歴や職歴などはほぼノーチェックです」

 筧容疑者はヤマト運輸に勤める傍ら、派遣社員として別の仕事を掛け持ちしていた。朝方にうつむきがちに帰宅する姿を、近隣住民はしばしば目撃していた。

「荷物を普段から雑に扱っていたことを職歴が長い先輩に怒られ、積もる鬱積が弾けたのかもしれん」(別の捜査関係者)

©AFLO

 事件時、筧容疑者は、逃げる男性を車で追いかけながら周囲に積み上がる宅配物や事務所の壁に動かなくなるまで車をガンガンぶつけていたという。

「荷物や車、パソコンを潰すつもりだった」

 逮捕後の調べには、そう会社への恨みをこぼしている。

送検時、左手でピースサインをする筧容疑者 

 10月9日、留置先の神戸北警察署から送検された際、筧容疑者はカメラを構える報道陣に向けて、満面に笑みを浮かべながら左手でピースサインを作ってみせた。反省や後悔を感じぬ狂気の表情だった。彼をかばいながら殺された被害者が、あまりに浮かばれない。

この記事の写真(8枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー