10月8日、FBIをはじめとする捜査当局が、米国ミシガン州知事の拉致を計画した容疑で13人を逮捕した。彼らは武装した白人至上主義者たちで大統領選直前に州政府を転覆しようとしていたのだった。
狙われたのは、グレッチェン・ウィットマー氏(49、民主党)。州民の人気も高く、バイデン米民主党大統領候補の副大統領候補の1人として名前が挙がっていたほどだった。今年3月から新型コロナウイルス対策で自宅待機命令を出すなど全米で最も厳しいロックダウンを実施した。
経済を最優先するドナルド・トランプ大統領は、州知事と犬猿の仲だ。トランプ氏は3月下旬の会見で、
「あの女には我慢がならない。ヤツのやっていることは、連邦政府にいちゃもんをつけるだけだ」と罵った。
一方、知事は、「政治的な攻撃はこれ以上必要ない。(必要なのは)個人防護具や人工呼吸器、医療用マスクやテストの道具。あなたはミシガンを支援すると言ったはずです」と反論した。
そして、4月15日、ミシガン州都のランシングで、新型コロナ対策をめぐり、全米で初めてのデモが起こる。数千台におよぶ車やトラック、バイクが議事堂周辺を埋め尽くし、都市封鎖を解除せよ、と知事に迫ったのである。デモを取材した私が見たのは、「Vote Trump(トランプに投票せよ)2020」と書かれた手書きのメッセージや、トランプ氏が好んで使うフレーズ「Drain the Swamp(汚職をなくせ)」などトランプ支援の言葉ばかりだった。