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連載名画レントゲン

ルノワールの描く豊満な女性像 そこに隠された「目線」の意味とは

ピエール=オーギュスト・ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)』(1872年)

2020/10/21

この絵はどういう場面を描いているのか?

 中央の薄い色の髪のくだけた姿勢の女性がもっとも目立つ存在。彼女が顔を向けているのは、右下の鏡を掲げた女性。視線だけでなく、左腕も彼女に向かって差し伸べられ、指先が少し触れています。

 視線を投げかけられた女性はというと、顔をそむけるように自分の左の足先あたりを見やり、肘もそちらに突き出しています。そこには花が落ちていて、カーペットの縞模様に誘われるように左上へと進むと、靴や腕輪などが。彼女のこの目線のおかげで、絵の細部まで楽しめます。

 次に、中央の女性の足や、垂らした布に導かれて左側の女性へと至ります。このお化粧係の女性が顔を向けていることで、画面奥の目立たない、背中を向けた女性の存在に気づかされます。窓の外を見ていて、どうやらお客さんが予想外に早く到着した模様。支度を急がないといけません。この絵はそういう場面だったのです。

 さらに、この女性の左腕とその手を置いた腰掛の縦線が、右側の女性の頭部へと戻ります。画面を1周できる流れになっているのです。

登場人物の目線を追っていくと、画面全体を1周する

 なお、残念ながらこの絵はサロンには落選。ルノワールらしい画風は、もう少し後に開花します。

INFORMATION

常設展「中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画とフランス近代彫刻
国立西洋美術館 ~10月18日/10月19日~2022年春(予定)全館休館
https://collection.nmwa.go.jp/artizeweb/search_6_areaart.php?area.location=9

●美術展の開催予定等は変更になる場合があります。ご来館前にHPなどでご確認ください。

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