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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/11/03

genre : ニュース, 社会

 松永らが複数の部屋を借りていた理由について、会見内で弁護士は次のように説明している。

「基本的に逃亡場所を確保するということですが、松永さん曰く、同じマンションの別の部屋というのは、盲点になるそうです。警察など当局が追跡することを考えるとですね、同じマンションの違う部屋に住んでいるとは、まあ、通常は考えにくいだろう、と。そういう考えがあったそうです」

※写真はイメージ ©️iStock.com

 第3回公判の期日が近づいていることもあり、松永弁護団は、資料読みや冒頭陳述作成での多忙を理由に、今回をもって、定例での会見は取りやめることを宣言した。そのため以後は、もしなにかあれば、記者クラブの幹事社が質問を取りまとめて、同弁護団に送るということになった。

松永の主張は「現場にいないし、指示もしていない」

 記者クラブに入っていない私の場合は、5月2日になって、松永弁護団の弁護士に直接取材を行った。そこではまず、3月18日に起訴された緒方智恵子さん(仮名、当時33)事件について、次のような話を聞いている。

「松永さんは、(智恵子さんが)亡くなる前年の秋には、隆也さんと智恵子さんが喧嘩をしていたと話しています。隆也さんは緒方家にうまいことを言われ、同家の養子として智恵子さんと一緒になりましたが、いざそうなると、約束通りではなかった、と。また、隆也さんは智恵子さんが水商売の仕事をしていたときに客と関係を持ったことや、松永さんと関係があったことなどを知っていたそうです。というのも、松永さんがそれらの話を面白半分に隆也さんにしたそうで、そうしたことがきっかけで、夫婦仲は悪かったようです」

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

 これはつまり、隆也さんには妻の智恵子さんを殺害する理由があるということを、松永は訴えている、ということだろう。弁護士は続ける。

「松永さん本人は、殺人について『やってない』と言っています。現場にいないし、指示もしていない、と。我々との接見の際にも、本人が言うことは一貫していますし、記憶もしっかりしています。『やっていないから、裁判でそう主張したい』とのことです。見たところ元気ですし、体調も優れているようですよ。本を読んでいるということと、よく眠れているということを話していました。4月になってからは取り調べもなくなっているので、最近は自分の食事のカロリー計算なんかもしているようです」

 そうしたなか、5月10日付『朝日新聞』(西部本社版)夕刊で、「小倉監禁 2被告、義弟も殺害容疑 福岡県警再逮捕方針 捜査は終結へ」という見出しの記事が出た。