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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/11/03

genre : ニュース, 社会

「最後の1枚は見ない方がいいですよ」

 また、少女の父・由紀夫さんについては、当時の生活ぶりがわかる写真が押収されているという。

「どうやら“領土”と名付けられた木の檻のなかで生活させられていたようです。松永と緒方の長男であるA君が、カズノコを食べている写真が押収されているのですが、その背後に、檻のなかにいる由紀夫さんと少女の姿が写り込んでいたそうです」

 この記者の話を聞いて間もなく、監禁されていた由紀夫さんの写真を見た女性に話を聞くことができた。田原涼子さん(仮名)というその女性は、かつて由紀夫さんと交際しており、少女とも面識があった。由紀夫さんとの結婚も視野に入れていたが、交際中に、由紀夫さんを孤立させたい松永らが、脅すなどの手段で裏から手をまわし、由紀夫さんから別れを切り出されたという過去がある。

「あの事件が発覚してから、警察に呼ばれて写真を何枚か見せられたんです。最後の1枚は見ない方がいいですよ、と言われました。あの人(由紀夫さん)はカツラだったんですけど、そのカツラがなく、顔にマジックで無数の落書きがされていました。落書きは目の上に長いまつげの線を引かれたり、おでこには波打った皺、鼻の下や頬にはカールしたヒゲといった具合です。写真を撮ったのはみんなで酒を飲んでいるときのようで、笑顔を無理やり作らされていて、彼の背後で緒方が大笑いしていました。何枚も写真を見ていくうちに、徐々に彼の顔色が悪くなり、頭に赤い大きな湿疹が現れるようになっていくのがわかりました」

※写真はイメージ ©️iStock.com

 この取材当時、涼子さんは監禁から解放された少女とも頻繁に会っており、その様子についても教えてくれた。

「清美(仮名)は車の免許を取り、昼は児童福祉事務所で仕事をしています。ひとり暮らしをしていて、一時は金髪にしていましたけど、いまは黒髪に戻っています。血色もいいし、彼氏もできたみたいですよ。あの子に当時の話を聞くと、松永に命じられて、由紀夫さんとお互いに殴り合いをさせられていたみたいです。あと、通電もお互いにやらされたって話していました」

 事前に福岡県警担当記者が予想していた通り、その後、松永と緒方の再逮捕といった捜査機関の動きはなく、これまで起訴された6件の殺人について争われる、第3回公判の期日を迎えることとなった。

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