罪状認否・緒方花奈ちゃん(10)事件
その後、松永弁護団による起訴状のなかの不明瞭な部分に対する求釈明の申し立てなどがなされ、いよいよ罪状認否となった。まずは着ていたウインドブレーカーの袖をまくった松永が証言台に立つ。最初は緒方花奈ちゃん(仮名、当時10)事件についてだ。
「花奈ちゃん事件に関しては、殺したや死なせた、指図や共謀もしていない。だいたい自分はその場にいなかった。クリップを使った電撃死ということですが、自分はそのように聞いていません。自分は首を絞めて死んだと、緒方と甲女から聞きました。甲女も一緒に首を絞めた、と。自分は死体も見てないし、その頃、緒方も解体について、かなり上手になっていたので、指示がなくても勝手にやっていました。聞いているので、(花奈ちゃんの)死は間違いないだろうと認識しています。けど、電撃死は違う。それに、実行、指示、共謀もしていません」
罪状認否・緒方孝さん(61)事件
次は緒方孝さん(仮名、当時61)事件。松永は証言台に手をつき前かがみの姿勢で言う。
「亡くなっていることは間違いない。自分も死体を見ています。自分が促して、電気を当てたのは緒方ですから、共同共謀正犯が成り立つ。しかし、死ぬとは思っていなかったし、殺すつもりもなかった。傷害致死の範囲で認めます」
罪状認否・緒方和美さん(58)事件
松永のこうした“主張”を、被告人席の緒方は、俯いた姿勢で聞いている。続いては緒方和美さん(仮名、当時58)事件。
「現場にもいないし、死体も見ていない。指図も指示もしていない。私はやっていない。たぶん亡くなっている。隆也さん(仮名=緒方の妹の夫、当時38)からそう聞いている。彼が殺したと自分に言った。隆也さんが首を絞めて殺したと言っている」
罪状認否・緒方佑介くん(5)事件
そして緒方佑介くん(仮名、当時5)事件については……。
「佑介を殺してもいないし、指示も命令もしていない。死んだことは間違いない。緒方、花奈、清美(仮名=甲女)から聞いている。首を絞めて殺したと聞いている」
それから松永弁護団が起訴状の内容について問題があると指摘していた、広田由紀夫さん(仮名、当時34)事件のことになると、松永は雄弁に語り始める。