文春オンライン

美容室での雑談が苦手、どうすれば…「“話しかけないでオーラ”はNG」現役美容師の回答

2020/10/25
note

 皆さんは、美容室に対してどのような印象を抱いていますか? 口下手なのに美容師さんとおしゃべりしなければならないところが苦手だ、と感じる人も少なくないようです。

 10年以上美容師でいる僕もまた、美容師になる前は美容師さんとの会話が少し苦手でした。テンションの高い空気感、中身の無いやりとり、盛り上がってないのに頑張ってトークを繋ごうとする感じ、少し気まずい雰囲気。なんでそんなに話したがるんだろう、と当時は思っていました。

 そんな僕が美容師になってみると、耳が痛いことだらけでした。あの頃苦手だったやりとりを、美容師としてやってしまう場面もありました。

ADVERTISEMENT

 では、なぜ美容師は積極的に雑談をしているのか。雑談の苦手なお客様は美容師にどう向き合えばいいのか? そんなアドバイスと共に、美容師側の心の声を聞いてもらえると嬉しいです。

写真はイメージです ©iStock.com

美容師がなぜ喋りたがるのか

 美容師の側では、よりよいヘアスタイルを作るために、お客様のシチュエーションに配慮したい、という思考が働いています。例えばお堅いお仕事なのか、カジュアルなファッションでも許されるライフスタイルなのか。TPOに合わせて、ヘアスタイルの幅は大きく変わります。

 ですが、初対面でいきなり「職種」や「プライベート」などの話をするのも不躾なので、他愛もない雑談から情報を引き出そうとしています。そうすることでお客様のオーダー以上に、髪のプロとしてもっといいヘアスタイルの提案を出来るかもしれない、そう考えています。

 お客様を知り、その方の好き嫌いが見えてくると、ヘアスタイルの選択肢を広げたり、狭めたりすることが出来ます。そのためお客様の趣味、嗜好、ファッションの傾向、ライフスタイルなどを探りたいのです。

©iStock.com

 また美容師にとっての商品は、カットしたヘアスタイルだけではありません。お客様が滞在した時間もまた商品であり、その間体験したことや得た知識もまた商品だといえます。例えば「旅行先の美味しいお店」や「スポーツの最新情報」など、お客様が得する情報を教えてあげられたらいいし、「同郷の話」や「共通の趣味」などによって、お客様との共通点を見出したいと思っています。

 そして今回得た話のネタの続きを次回もしたい、お客様に次回も来て欲しい、という希望を持って努力しているのです。