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2020/10/28

ネトウヨたちの狂喜乱舞

 さすがに司会が「2分間は邪魔せずに互いの言い分を聞くという約束ですよ。いいですね?」と言うとトランプは「だって……」と言い訳しようとして司会に「理由を聞いたんじゃありません!」と叱られた。小学生か!

 そのくせトランプは司会の質問にまともに答えられない。「カリフォルニアで山火事が続いていますが、地球温暖化を否定している大統領は、この状況をどう思いますか?」と聞かれて、「森の枯れ葉や枯れ木を掃除すればいいんだ」とトンチンカンな答え。45度を超える気温や72時間に1万発も落ちる雷が出火原因なのに。

 

 司会が「大統領はデモ隊を暴徒呼ばわりしていますが、プラウドボーイズと名乗る極右グループや白人至上主義者の暴力を批判しないのですか?」と問うと、トランプは「悪いのは右翼じゃなくて、いつも左翼だよ」と、極右の批判を拒否し、カメラを見て「プラウドボーイズ、Stand back and stand by(いったん下がって待機せよ)」と、なぜかテレビの向こうに呼びかけた。

 これでネットの右翼たちは狂喜乱舞。大統領がテレビで自分たちに指令を出してくれたのだ。忠実な兵隊として認めてくれたのだ。ヒットラーの親衛隊みたいなものだ。「待機せよ」ということは「出撃の時を待て」ということ。彼らはトランプのために何でもするだろう。投票妨害でも何でも。

 この討論会を見たルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミルは「最悪のものを観た。自分が出た『スター・ウォーズ』クリスマス特番以来だ」とツイート。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のお母さん役リー・トンプソンも「最悪。アヒルの恋人役やって以来」。ああ、『ハワード・ザ・ダック』思い出しちゃったよ!

まちやまともひろ 
1962年生まれ。映画評論家。米カリフォルニア州バークレー在住。この連載をまとめた最新刊『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(小社刊)が発売中。
BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV In Association With CNN」は毎週金曜日22時24分〜放送中。

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