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NHKも一目を置く超ロングヒットゲーム「信長の野望」はどうして37年売れ続けるのか

2020/10/30
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 文春オンラインで中間発表された「プレステアンケート」の上位に「信長の野望」が入りました。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などの人気シリーズのように華々しい売れ方をしているわけではありませんが、37年売れ続け、多くのファンの支持を得ています。任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」より前に生まれた本作。ロングヒットの魅力は何なのでしょうか。

超ロングセラーゲーム「信長の野望」はなぜここまで愛されるのか ©コーエーテクモゲームス(信長の野望「大志」より)

“初代”は近畿と中部だけ 夢のまた夢だった「全国制覇」

「信長の野望」シリーズは、日本の戦国時代を舞台に、織田信長らになって天下統一を目指すシミュレーションゲームです。1983年にPC向けに発売されて以降、数年に一度のペースで発売され、本編シリーズだけで15作もあります。

 ポイントは、同じ戦国時代をテーマにしながら、毎回出すたびに新しいアイデアを盛り込んでいること。シリーズ初代はまだ当時のPC性能やメモリ容量が追いつかず、プレイ可能地方は近畿・中部地方のみでしたが、第2作「全国版」(1986年)は文字通り全国(50カ国)になりました。第3作「戦国群雄伝」(1988年)では、家来となる武将も約400人登場して、人気を不動のものにしました。

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初代の「信長の野望」画面。エリアが近畿と中部だけだった ©コーエーテクモゲームス
3作目「戦国群雄伝」で人気は不動のものになった ©コーエーテクモゲームス
3作目「戦国群雄伝」の戦闘画面。当時は「PC88」が対応機種だった ©コーエーテクモゲームス

 全国をフォローできなかったシリーズ初代の発売後に、ユーザーから「地元の英雄(戦国大名)になって天下統一をしたい」という要望が寄せられたというのですから、当時からの人気のほどがうかがえます。

 その後も、国から城単位の攻防を描いて論功行賞(人事)を取り入れた「覇王伝」(1992年)、合戦がターン制からリアルタイム制になった「嵐世記」(2001年)などバリエーション豊かに展開。

「覇王伝」からは“人事”も取り入れられた ©コーエーテクモゲームス
「嵐世記」からは合戦のバリエーションも広がった ©コーエーテクモゲームス

 シリーズ最新作の「大志」(2017年)では、AIを活用して「義のために戦う上杉謙信」や「関東制覇を目指す北条氏康」など各大名が取った“史実の戦略”そのものを再現して、さらに経済圏の概念も取り入れました。また、コンピューターの大名が自分の置かれた立場を学習するのも特徴で、「あのプレイヤーに裏切られた」というようなことも忘れません。当時の価値観も反映して、室町幕府と戦争をすると心証が悪くなり、外交交渉で聞く耳をもってもらえなくなる。天下統一を目指して領土を拡大すれば、必然的に敵が多くなるのです。