文春オンライン

2020/11/21

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, スポーツ

卓球は握りを変えることはできない

――その4年間で、他の競技のイップスの人に見られるように、やはり握りを変えたり、ラケットを替えたりしたのですか。

坂本 卓球は握りを変えることはできないと思います。とても繊細な部分なので、深く握っているのを少し浅くしただけでもうまく振れなくなる。グリップを細くするくらいはできるかもしれませんが、それくらいでは何も変わらない。相手のラケットにボールが当たってから自分が打つまで平均で1.7秒くらいなんです。その間に相手の回転を読んで、瞬時に対応しなければならない。ちょっとでも握りに違和感を感じていたら、そんなことできないと思います。

©文藝春秋

――競技によっては利き手を変えるという手もあるそうですが、話を聞く限り、卓球は相当難しそうですね。

坂本 無理でしょうね。日本は今、7歳以下の代表チームがあるんです。アンダー7のトップ8が集まって合宿をしているんです。それくらい低年齢の時から取りかからないと世界レベルには到達できない。Tリーグに所属する条件にも、今、2年以内にアンダー6を作りなさいという項目があるくらいなんです。利き手を変えたら、また一から感覚を養わなければならない。そこから世界クラスに這い上がるのは不可能だと思います。

 壮絶な体験を繰り返したという坂本さん。インタビューの続きは、「文藝春秋digital」で公開中です。

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