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「左足をやむなく切断」想像を絶するほど過酷な"ゴミ屋敷清掃"という仕事

実は私が“ゴミ屋敷の整理(掃除)”の仕事に惹きつけられたのは、およそ4年前のAさんとの出会いがきっかけだった。

「今まで自分は好き勝手なことをして生きてきたから。この仕事で社会に恩返しをしたい」

Aさんは繰り返し私にそう話してくれた。

足を失うということを初めて目の当たりにした

Aさんの退職後、Aさんが所属する部署責任者で、孤独死現場の第一人者である石見良教さんが「(Aさんの足切断を知った時は)大変なショックだった」と打ち明けてくれた。

「まさか整理作業の現場で、傷が原因で足を切断するなどとは考えていませんでした。私も事故が起きるまで知らなかったのですが、Aは糖尿病を抱えており、そのため足の神経が麻痺して釘を踏んだこともわかっていなかったようです。当初は膝元あたりでの切断とのことでしたが、太もも部分まで菌に侵食されていたため、そこまで切断となったのです。足を失うということを初めて目の当たりにしました。それ以来、特にゴミ屋敷、ゴミ部屋、変死現場では衛生面の注意喚起を一層心がけています」

石見さんは自身の職業を「遺品整理人」と名乗る。遺品整理人とは、故人の持ち物(遺品)を遺族になりかわって整理する人である。テレビドラマ『遺品整理人 谷崎藍子』(2010年~15年、TBS系)で取り上げられ、話題になった。石見さんはこのドラマの監修も手がけている。

家の中が空っぽでなければ「解体作業」はできない

仕事はあくまで“整理業”であって“掃除屋”ではないのだが、依頼者がゴミ屋敷に住んでいるケースが多く、必然的にゴミ屋敷の整理=掃除になっているのだ。

「依頼者が生きている場合は、今後の生活を少しでも良い方向に向ける。故人の場合は尊厳を保てるような整理を行いたい」

と、石見さんは言う。

しかし、冒頭の現場に立ってみると、そんな気持ちになれることが信じられなかった。

あんしんネットへの依頼は、<一軒家の室内の物を全て処分>だった。夫が亡くなり、唯一の居住者である妻は、入院中。ここには継続して住まず、施設へ入居する可能性が高いという。