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「左足をやむなく切断」想像を絶するほど過酷な"ゴミ屋敷清掃"という仕事

家を取り壊す場合、家の中が空っぽでなければ解体作業はできない。丸2日間、10人近くの作業員が駆けつけて、トラックが満タンになるほどの廃棄処理を行ったが終わらなかった。私は3回目の作業に加わらせてもらった。

「靴は、作業日限りで処分できるものを」といわれたワケ

「作業服のボタンは上までしっかり締めて。虫やダニが入ってくるから。マスクもあごまで覆うこと。帽子や手袋も必ず着用」

先輩作業員から注意を受け、慌てて身なりを整える。防御効果の高いマスクを二重に付けるが、室内に入ると空気が変わるのがわかる。動物や人の汗、土ぼこりが入り交じったような、独特の臭いが鼻をつく。室内より屋外のほうがはるかにきれいなのではないかと感じた。「靴は、作業日限りで処分できるものを履いてきて」と言われたことにも納得がいく。

1階の玄関入ってすぐの位置に広いリビングのような部屋、その奥に台所と風呂場、2階に2部屋。3日目の作業とはいえ、まだたくさんの物が残っている。風呂釜、冷蔵庫、家具類、食器や布団類……家の中の全てを処分しなくてはならない。それぞれの持ち場に分かれて作業を行う。私は「台所から着手せよ」という指示を受けた。

台所の床には新聞が一枚一枚バラバラに、隅々まで敷き詰められていて、その高さは10センチ以上にもなっている。なんでも“ぬくもり”を感じるからと、新聞紙をためこむ高齢男性が多いのだという。もはや床に張り付いてしまっている新聞紙をびりびりとはがし、引っ越しに使うサイズの廃棄用ダンボールに捨てていく。ダンボールがある程度たまったら、トラックに積み込む流れだ。

物をどかすたびにゴキブリやクモが這いずりまわる

新聞紙を投げ込むたびに顔を背けたくなるほどのホコリがまう。しかし近隣の住民への迷惑を考えて、作業中に窓は開けられない。

何かの物をどかすたびにゴキブリやクモが這いずりまわる。皆がどんどん廃棄用ダンボールに物を投げ捨てていく。ダンボールの中を動き回っていたゴキブリが物につぶれて圧死したのが見えた。