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「左足をやむなく切断」想像を絶するほど過酷な"ゴミ屋敷清掃"という仕事

収納棚を片付けようと思い、台所に備えつけてある上扉を開けると、その近辺の天井までメリメリとはがれ落ちてきた。屋根にたまっていた水が室内にしたたり落ちる。思わず悲鳴をあげてしまったが、他のスタッフは至って冷静。いちいちこんなことに叫んでいては、掃除、いや整理業は務まらない。

廃棄物はなんでもまとめて処分すればいいわけではない。食品や液体類、ライター、ビデオ類などは、処理困難物として別の袋に仕分ける必要がある。仕分けルールを守らなければ処分場で爆発し、火事などの事故につながる。液体類はなるべく空にしたほうがいいので、私は台所で2リットルサイズのペットボトルの水を30本以上、ひたすら流す作業に取りかかった。

その作業途中、私の足元の床が突然抜け落ちた。

足を床上に引っ張りあげる時に足首から出血した

片足がズボッと床にはまる。片付けの途中だったお玉や鍋も音を立てて床下に転落していく。ミミズがうごめく床下に手を突っ込んで、それらを拾い上げた。靴の中に砂利が入り込み、足を床上に引っ張りあげる時に足首から出血した。

Aさんのことが頭をよぎり、自分も足を切断することになったら……という恐怖に支配されて身動きがとれなくなった(ちなみにこの作業の翌日、実際に私は発熱した。この傷が原因だったのではないかと今でも思っている)。

その時、2階から声がかかった。

「笹井さーん、2階から布団を落とすから、それを玄関近くにまとめて運んでくれるーー?」

あんしんネットで唯一の女性社員であった彼女の明るい声に心が和み、了承の返事をする。すると、丸められた布団が階段をつたって転がり落ちてきた。

目を凝らすと、なんと「人の大便」がくっついている

二人暮らしだったとは思えないほどの何枚もの布団。簡単にたたんで玄関近くに持っていく。高さ1.5メートルぐらいの布団の山が4列できた。小さな毛布類はビニール袋に入っているが、どうも臭う。目を凝らすと、なんと「人の大便」がくっついているではないか。あとからほかの作業員に尋ねると、これまでの2日間の作業では、1階の床にも大便が転がっていたという。