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2020/11/10

 また、「半分、青い。」(NHK・2018年)で演じた“ゆるフワモテ男”マアくんは、「半分寝ているような顔した男」と評される、不思議な魅力の持ち主で、肩に子猫をのせて初登場し視聴者を仰天させた。しかもそれは本人のアイディアだったという。

「やっぱ登場で『何だろう?』ってガッとつかまないといけないなって。僕の役、結構いい役って言ったらアレですけど(中略)やっぱこう、一瞬でつかめる何かが欲しいなって考えてて」(「A-Studio」TBS系・10月23日放送回)

中村倫也 ©AFLO

 そんな、なんでもイケる俳優・中村史上、唯一批判が上がっているのが王道のドSイケメンキャラ、というわけだ。

分かりやすくモテそうな役柄は「もったいない!」

 これまで中村が賞賛されてきた役柄は、魅力が分かりにくい人物が多い。すごく嫌な奴だけど実は寂しがり屋、カッコいいのに不思議ちゃん、包容力はあるが生活力はない、など、いわゆる“ダメンズ”ばかり。

 しかし中村はその頭の良さや、演技パターンの豊富さによって、重層的な役作りをすることで、“ダメンズ”の魅力をふいに滲ませたり零れ落としたりする。そして私たち視聴者は中村の目尻に微かな悲しみを感じ、手の微妙な動きに愛情を感じ取り、本当は戦略的にチラ見せさせられているのに、目の前に落とされたものを「自分が見つけた! 拾い上げた!」と感じてその術中にハマっていくのだ。

 だからこそ財力も権力もある“ドSイケメン”といった、分かりやすくモテそうな役柄を演じているのを見ると「もったいない!」「私の倫也の使い方を分かってない!」と感じる人が多いのだろう。

「この恋あたためますか」のワンシーン(番組公式サイトより)

高橋一生の「コレじゃない!」は……

 同じように、出演する作品や演じる役柄によっては「コレじゃない!」の声がファンの間で噴出する役者といえば、「凪のお暇」で共演した高橋一生(39)。「Woman」(日本テレビ系・2013年)や「民王」(テレビ朝日系・2015年)、「カルテット」(TBS系・2017年)などでブレイクした彼の起用法で「コレじゃない!」が殺到したのは「わたしに運命の恋なんでありえないって思ってた」(フジテレビ系・2017年)だ。

高橋一生 ©AFLO

 ルックスもキャリアもハイスペックながら、女心が致命的に理解できないアプリ会社の社長を演じていたが、このいかにもなステレオタイプのキャラでは高橋一生の奥行ある魅力が十分に引き出される気がしない。「別の役者でも良かったのではないか……」という声も多かった。