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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

「生活全般においては、松永に従って……」緒方純子が法廷で明かした6人殺害の“罪状認否”

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #33

2020/11/17

genre : ニュース, 社会

 起訴された案件だけで7人が死亡している「北九州監禁連続殺人事件」。

 もっとも凶悪な事件はなぜ起きたのか。新証言、新資料も含めて、発生当時から取材してきたノンフィクションライターが大きな“謎”を描く(連載第33回)。

第3回公判、松永弁護団が読み上げた意見書

 2003年5月21日に福岡地裁小倉支部で開かれた、松永太と緒方純子の第3回公判。午前中に終了した松永の罪状認否に続き、午後には松永弁護団による意見書の提出があった。その際に松永は、これまで着ていた黒いウインドブレーカーを脱ぎ、黒いTシャツ一枚の姿になっていた。

写真はイメージ ©️iStock.com

 まずは甲女(広田清美さん、仮名)への監禁致傷と乙女(原武裕子さん、仮名)への監禁致傷、ならびに詐欺・強盗についての意見書が読み上げられたが、これは松永本人が午前中の罪状認否で主張していることもあり、割愛する。

 続いてこれまでに起訴された6件の殺人事件について、各事件ごとの意見書が弁護人によって読み上げられた。なお、すべて殺人罪での起訴に対するものである。

●緒方花奈ちゃん(仮名、当時10)事件

「死亡事実は争わず。しかし、加担はない。殺害の動機もない。無罪である」

●緒方孝さん(仮名、当時61)事件

「緒方による通電行為で、制裁的な意味だった。死に至らしめることへの認識、認諾はしていない。傷害致死、もしくは重過失致死である」

●緒方和美さん(仮名、当時58)事件

「動機も行為もなく無罪である」

●緒方佑介くん(仮名、当時5)事件

「加担、指示、謀議はなく、無罪である」

●広田由紀夫さん(仮名、当時34)事件

「(起訴内容が)あまりに抽象的で無罪である。認否は不可能」

●緒方智恵子さん(仮名、当時33)事件

「死亡の事実については争わず。加担、謀議、動機、指示はない。無罪である」

写真はイメージ ©️iStock.com

 松永弁護団によって以上の意見が出されたところで、検察側が質問をする。

「孝さん事件について、重過失致死を使っていますが、通電行為は暴行にあたると考えないのですか?」

 それに対し、松永弁護団は次のように回答した。

「(暴行にあたるとは)考えていません。通電と死亡の間に因果関係が認められない限りは、重過失致死にあたると考えています」