昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

2020/11/17

genre : ニュース, 社会

隆也さんに対する殺人罪で起訴

 5月30日、捜査本部は松永と緒方を緒方隆也さん(仮名、当時38)への殺人容疑で再逮捕した。容疑内容は、両名は1998年1月頃から北九州市小倉北区のマンションで、隆也さんを電気コードによる通電などによる虐待で支配下に置き、満足な食事を与えずに飢餓状態にしたうえ、治療を受けなければ死亡すると知りながら放置し、同年4月13日頃に、同マンション浴室内で、胃腸管障害による腹膜炎または急性心不全で死亡させたというもの。

 弁解録取書では、松永は容疑を否認し、緒方は「すべて間違いありません」と犯行を認めている。

 その後、6月20日に福岡地検小倉支部は、松永と緒方を隆也さんに対する殺人罪で起訴した。公訴事実は以下の通りだ。

〈被告人両名は、平成9年11月ころから同10年4月初めころまでの間、北九州市小倉北区片野×丁目×番×号『片野マンション』(仮名)30×号室、あるいは同市小倉北区東篠崎×丁目×番×号『東篠崎マンション』(仮名)90×号室において、緒方隆也(当時38年)の自由を制約するなどして自己らの支配下に置き、生存に必要な食事を十分に与えないまま、同人の心身に強いストレスを与える身体への通電等の虐待行為を繰り返すことにより、同人を栄養失調の状態に陥れ、同月8日ころには、同人が自ら立ち上がることもできず、飲食物を与えてもことごとく嘔吐するなど、明らかに医師の適切な治療を要する衰弱状態に陥り、同人をこのまま放置すれば近く死亡するに至ることを十分に認識していたのであるから、直ちに同人の生存に必要な医師の適切な治療を受けさせて同人の生命身体を保護すべきであったにもかかわらず、共謀の上、殺意をもって、飲食物の摂取のできなくなった同人を、医師の適切な治療を受けさせることなく、そのころから、上記『片野マンション』30×号室の浴室内に放置して衰弱するに任せ、よって、同月13日ころ、同所において、同人を極度の飢餓状態に基づく胃腸管障害による腹膜炎により死亡させて殺害したものである。

 罪名及び罰条

 殺人 刑法第199条、第60条〉

 この起訴により、前年3月の事件発覚以来、約1年3カ月に及ぶ主要な捜査は、すべて終結した。この間に2件の監禁致傷罪、1件の詐欺・強盗罪、7件の殺人罪での起訴が行われている。

 なお、第3回公判では取り上げられなかった、緒方隆也さんに対する殺人罪での罪状認否は、8月6日に福岡地裁小倉支部で開かれた第5回公判で行われ、松永は起訴事実を否認。緒方は認めている。

 公判については、最終起訴から2年以内に第1審判決を目指す裁判迅速化法に基づいて、同年10月以降は週1回のペースでの集中審理が続き、2005年1月の第72回公判まで審理が行われた。その後、同年3月に両被告に死刑が求刑される論告求刑公判が開かれ、同年4月から5月にかけての3回の公判で、最終弁論が実施されて公判は結審。同年9月28日の判決公判で、両名に死刑が言い渡された。

 なお、緒方については2007年9月26日に福岡高裁で開かれた控訴審で、死刑判決が破棄され、無期懲役判決が言い渡されている(検察側が上告)。

写真はイメージ ©️iStock.com

 2011年12月12日、最高裁は松永の上告を棄却し、その後、死刑が確定。一方、緒方の無期懲役判決に対する検察側の上告も棄却され、無期懲役判決が確定した。

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー