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《アルカイダとの戦いは続いていた》米国によるNo.2暗殺の裏側と、バイデン政権の“不安すぎる中東外交”

2020/11/19

 11月13日、「ニューヨーク・タイムズ」紙は「アルカイダ」のナンバー2であるアブ・ムハンド・マスリが今年8月7日にイランでイスラエルのエージェントによって殺害されたと報じた。後日AP通信は、4人の米当局者から殺害の事実を確認したと報じている。

 マスリ暗殺を最初に報じた「ニューヨーク・タイムズ」は、米政府は長年、イランでマスリやその他のアルカイダ・メンバーの追跡を行なってきたと報じた。AP通信によると、暗殺を実行したのは米政府から情報提供を受けたイスラエルの諜報機関「モサド」の暗殺部隊「キドン」だという。

世界最強と名高い諜報機関モサドと暗殺部隊キドン

 モサドはイスラエル諜報特務庁の通称であり、世界最強の情報機関とも言われる。キドンはモサドの工作部隊のひとつであり、特定の人物の暗殺を実行する。2016年からモサド長官を務めるヨシ・コーエンは2018年、モサドのエージェントはイラン国内でも活動していると示唆した。

イスラエル諜報特務庁、通称モサドのヨシ・コーエン長官 (公式ウェブサイトより)

 アメリカもイスラエルも当局はマスリ暗殺を公式には認めていない。だが事実が報道の通りだとすると、トランプ政権は「イスラム国」指導者バグダーディー、イランの革命防衛隊司令官ソレイマニに続き、アルカイダのナンバー2も“仕留めた”ことになる。

 そして11月13日には、ビンラディンの衣鉢を継ぐアルカイダの最高指導者アイマン・ザワーヒリーも実は1カ月前にカタールのドーハで死亡したという情報が流れている。ザワーヒリーは以前から病気を患っているとされていた。

 日本ではアルカイダについてのニュースが報じられなくなって久しい。しかしそれはアルカイダが消滅したからでも、弱体化したからでもない。アルカイダは今も世界中にネットワークを張り巡らせ、イスラム教による世界征服という目標実現のために活動している。

アフガニスタンで撮影されたビンラディン(左)とザワーヒリー ©getty

変わらず「世界征服」を進めていたアルカイダ

 アルカイダは1988年、サウジアラビアの富豪の息子であるオサマ・ビンラディンを中心に結成された組織だ。

 ビンラディンは2001年9月11日の米同時多発テロの首謀者とされ、事件後、アルカイダの名は一躍世界に知れ渡ることになった。米政府はテロとの戦いを宣言。「タリバン」によってアルカイダが匿われていたアフガニスタンへの軍事攻撃を開始した。

 その攻撃は苛烈を極めた。