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車は通行不能、倒木や落石がゴロゴロ…国道256号の“酷すぎる分断区間”を4時間かけて踏破してみた

2020/11/21

genre : ライフ, , 娯楽, 社会

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 今から2年前、静岡県の山あいをドライブしていた日のこと。“酷道”として名高い国道152号を、私は浜松市から北上していた。

 一般的に国道といえば、整備されて走りやすい、快適な道を想像するが、道幅がギリギリ車1台分しかなく、路面に落石がゴロゴロ転がっているような国道も実は少なくない。そんな国道のことを“酷道”と呼び、私のようにわざわざそれ目当てで車を走らせる愛好家も存在する。静岡県浜松市と長野県上田市を結ぶ国道152号も、そんな酷道の1つだ。

“悲劇”の始まりだった国道152号

夜の峠越えを回避するために……

 その日は朝から走り続けていたものの、2つの峠を越えて長野県飯田市に入ると、すっかり日も傾きはじめていた。このまま152号を北上すると、暗闇で次の峠を越える羽目になる。カーブが連続する狭い峠道は、明るい時間帯でも運転に慎重さを求められる。対向車が来ようものなら、手に汗握るドライブだ。

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 そんな峠道に、暗闇のなか突入するのはやめておこう――。そこでいい抜け道はないかと、私はスマホの地図アプリを眺めた。すると、飯田市上村から進路を西に変えて国道256号に入れば、その先の飯田市街から高速道路に乗れることがわかった。

実際の地図アプリの画面。国道152号から256号へ抜けるルートがわかる

 国道256号へ向かうには、上村から一旦県道に入る。その道を3キロほど北に進むと、256号に左折できるようだ。早速県道に入り、北上する。……だが、明らかに3キロを過ぎても、一向に左折できそうな道が現れない。地図アプリを確認すると、既に256号への分岐点はとうに越えている。

どれだけ走っても見つからない道

「スマホの電波状態が悪いから、きっと現在地が正確に表示されてないのだろう」。そう思い、Uターンして分岐点付近に戻ってみたが、やはり道が無い。さらにUターンして行ったり来たりを繰り返したが、結果は同じだった。

「そんなバカな……」

 スマホの地図を拡大してみるが、変化はない。しかし、さらに拡大してみると、おかしなことに気付いた。県道と国道256号との間に、わずかなすき間が現れたのだ。……そう、県道と国道256号は、あと数十メートルというところで、微妙に繋がっていないのだ。

先程の地図を拡大したもの。左の状態では、まだ異変はない。しかし、さらに拡大すると(右)……なんと道が繋がっていない!

 こんなことがあるのか……。しばし呆然としたが、ここで立ち止まっている訳にもいかない。国道152号に戻って北上し、真っ暗になった酷道をひたすら走る。峠を越え、ようやく街の灯りが見えた時には、心底ほっとした。