昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

菅首相はどこで何を間違ったのか……学術会議問題“失敗の本質”

「学術会議問題が明るみに出て以降、60%を超えていた内閣支持率は10%近く下落。6人の学者を“排除”したことで『人柄が信用できない』という不支持理由が急増した。安倍晋三前首相がそうだったように、一度不誠実だと見られると信頼の回復は難しい。菅義偉首相は、対応を誤ったと言わざるを得ません」(政治部デスク)

 菅首相はなぜ、どこで間違ったのか。学術会議問題を「総合的、俯瞰的に」徹底検証した――。

◆◆◆

 任命拒否の理由について当初、「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断をした」と説明していた菅首相。だが、10月28日の衆院本会議で“新たな理由”に踏み込んだ。「民間出身者や若手が少なく出身や大学に偏りが見られることを踏まえ、多様性を念頭に判断した」と述べたのだ。

「6人のうち、小沢隆一教授の東京慈恵会医科大からは、他に会員は出ていません。会員候補では若手の53歳の宇野重規教授や、女性の加藤陽子教授も外された。任命拒否の理由としては無理がある。この『偏り』発言から、首相の答弁は一層迷走を重ねていきます」(同前)

“全集中の呼吸”で臨んだが……

 11月2日に始まった衆院予算委員会。首相は「“全集中の呼吸”で答弁させて頂きます」と『鬼滅の刃』のセリフを切り出した。

「首相は『鬼滅』を観ていませんが、『これをやればウケます』とメディア関係者に言われ、答弁に盛り込んだ。議場は白けていたものの、『ネットでウケがいい。上手くいった』と得意気でした」(首相周辺)

 だが、肝心の質疑は噛み合わないまま。「宇野教授は名簿の中で若手ということは認めますね」と問われ、菅首相は「認めない」と“迷答弁”を繰り出す。

沈黙を守る芦名教授の妻が……

 党から首相を支える森山裕国対委員長が語る。

「(国会では)大臣がみんな手を挙げないので、総理が『自分で答弁しないといけないのか』と手を挙げているように見えましたね」

 首相が特に警戒していたのが、女性の質問者だ。

「以前から『小池(百合子都知事)や望月(衣塑子記者)の話になるとカッとなる』とこぼしており、今回も辻元清美氏らの質問には『ペーパーを淡々と読み上げる』という対策を取っていた」(前出・首相周辺)

 ただ、それにも限界があった。11月4日の予算委で、辻元氏から「6人を任命しないという話は聞いたか」と問われると、首相は「聞いていない」。ところがその後、「(内閣府の決裁が)上がってくる前に聞いていた」と修正し、伝えてきた相手が「杉田和博官房副長官」と認めてしまう。