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第一生命19億円詐欺 営業職員A子さんと山口銀行元頭取との“深い関係”が発火させた「地銀再編」

2020/11/30

 第一生命保険の営業職員だったA子さん(89)が10年以上にわたって、21人の顧客から計19億円を騙し取っていた詐欺事件。その影響は、銀行界にも波及する気配を見せている。

 地銀関係者が明かす。

「A子さんは第一生命徳山分室(山口県周南市)の所属で、社内で唯一『特別調査役』の肩書を持っていました。彼女が大口顧客の信頼を得てきた背景には、地元・山口銀行のドンとして君臨してきた田中耕三元頭取(94)との深い関係があったと言われています」

A子さんが勤務していた第一生命の徳山分室 ©共同通信社

 92年から10年間にわたって、頭取を務めた田中氏。02年に退任後も相談役として、専用の個室も与えられていたという。17年9月に特別社友に退くが、以降も山口銀行の社宅である一軒家に住み続けてきた。

「田中氏は、人事課長時代にA子さんと知り合ったとされます。2人の親密ぶりで知られているのが、04年に山口銀行で起きたクーデター劇。当時の田原鐡之助頭取は田中氏とA子さんの只ならぬ関係を断ち切ろうとしたのですが、逆に田中氏から返り討ちに遭ったのです。田中氏は子飼いの役員たちに緊急動議を出させ、田原氏を解任にまで追い込みました」(同前)

 クーデター劇は成功したものの、金融庁から「ガバナンス不全」と目をつけられた山口銀行。余儀なくされたのが、広島県のもみじ銀行との経営統合だった。

「金融庁が問題を起こした山口銀行にプレッシャーをかけ、経営不振に喘ぐもみじ銀行を引き取らせたと言われました」(地銀幹部)