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2020/12/01

 行為への嫌悪感はあっても教師を慕う気持ちがあり、田村さんはその後も教師に声をかけられれば従った。やがて「18歳になったから」という説明だけでホテルに連れて行かれた。教師は絵を描く資料にすると言いながら裸の彼女を縄で緊縛し、写真に収めた。しばらくすると、「高校生に手を出した話を彼女にしたら怒られたから終わりにしたい」という一方的なメールが来て、性的接触は止んだ。彼女は表情を歪めてこう語る。

「これも後から言われたんですが、写真は口止めという意味もありますよと。その教師は今も教壇に立っています。あんなことを生徒にして社会的に許されるのはおかしいと成人してから気づき、すべてをぶちまけてやりたいと何度も考えました。でも、そのたびにリベンジポルノ的に写真を流出させられるかもしれないとよぎって怖くなり、こんなことになった自分を責めて精神的にも生活もぐちゃぐちゃになりました」

発覚するのは氷山の一角

©iStock.com

 今年6月、群馬県で私立中学の27歳の男性教師が、担任を受け持つ2年の女子生徒を乗用車内に拉致監禁したとして逮捕され、殺人未遂やわいせつ目的略取などの罪で起訴された。「好意があった」「わいせつ目的だった」と供述する容疑者の異常さは耳目を集めた。

 しかし事件化しなければ明るみに出ないだけで、田村さんが経験したような事案は全国どこでも起こり続けてきた。

 こうした事案は、教師による児童生徒へのセクシュアル・ハラスメント、「スクールセクハラ」と総称される。私はこのスクールセクハラ問題をたびたび記事化してきたが、その都度「記事に出てくる話が自分とそっくりで驚いた」「何十年たっても昨日のことのように苦しい」といった当事者たちのやり場のない声が寄せられてきた。田村さんもその一人だ。

 文科省によると、平成29年度に性的行為などで懲戒処分された公立小中高校などの教員は、210人。このように発覚するのは氷山の一角であり、さらに群馬の事件のような私立学校は公的調査がなくこの数字に含まれておらず、実態も不明だ。