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教師からポケベルで呼び出し、夜間に“処理”させられて…スクールセクハラ被害者が声をあげる理由

スクールセクハラ「犠牲者」たちの告発 #2

2020/12/01

「スクールセクハラ」と総称される、教師による児童生徒へのセクシュアル・ハラスメント。スクールセクハラの被害者の苦しみは、被害の渦中にある時だけでなく、成人してからも長く続く。ジャーナリストの秋山千佳さんが「文藝春秋」2019年9月号で取材した「いま、あなたの娘と息子が危ない! スクールセクハラ「犠牲者」たちの告発」を全文公開する。※肩書きや年齢などは掲載時のまま。(全2回の2回目/#1から続く)

部活、車、携帯電話

 スクールセクハラは、「指導し評価する者」と「教え子」というような力関係を利用して起こる。そこには支配と被支配の構造がある。特に小野さんのケースのように、指導者が絶対的存在になりがちな部活動は被害の温床になりやすい。

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 NPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(SSHP)代表の亀井明子さんはこう分析する。

「子どもは選手選びや内申書に響くと思うと抵抗しづらく、イエスと答えるしかない。こうした圧倒的な力関係を背景に、一般にイメージされるようなロリコン教師でなくとも、妻子のいるようなごく普通の中高年、ベテラン教師が加害者になるのがスクールセクハラです」

 元公立中学校教師の亀井さんは、約20年にわたり2000件以上の被害相談を受けてきた。その経験から、「北海道から沖縄までどこでも起こっていて、まるで金太郎飴のように手口が似通っている」と指摘。相談に頻出するキーワードとして、「部活動」「車」「携帯電話」の三つを挙げる。

 もっとも、子ども自身が被害を打ち明けるハードルは高い。亀井さんいわく「子どもは被害が深刻になるほど、親が悲しむと考えて言い出せなくなる。また、加害教師に秘密を強要されていたり、口外すれば教師の立場が危うくなることをにおわされ、セクハラでなく指導だと無理に自分を納得させたりすることもある」。さらに性の話に抵抗がある子は多く、SSHPへ電話してきても、最初は体罰など別の話から入るケースが大半だという。

 ただ、こうした被害を教育現場でキャッチして対応できるかというと、亀井さんは「学校は閉鎖社会で、何か起こると保身や隠蔽工作に走る。自浄能力は極めて低い」と手厳しい。亀井さんも教師時代、女子生徒から被害相談を受け校長に対応を求めた際、教師らによって内部告発を潰すための数々の嫌がらせを受けたという。校長はそれを黙認した。