日本を代表するミュージシャンとして名を馳せ始めたタイミングで、デビュー前から支えてくれた妻と別れたGLAY・TERU。その一年後にはPUFFY・大貫亜美との再婚が報じられ、世間には非難の声が轟いた。しかし、糟糠の妻と別れたのは、彼がただ薄情だったり、地位に奢ったりしたからなのだろうか。

 ここでは細田昌志氏の著書『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか?』を引用し、TERUの人生を振り返りながら、彼の心に隠された結婚観に迫る。

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家族を捨てて大貫亜美を選んだ理由

 大貫亜美がいくら思いのほか美女であるとはいえ、TERUが、いくら芸能人との結婚願望を持っていたかもしれないとはいえ、それだけの理由で、苦労を共にした美しい良妻と、可愛い盛りの子供を、あっさり捨てられるものだろうか。

 ここで挙げた、

「芸能人同士のカップルを、願望として抱いたこと」

「同じく有名芸能人である彼女に選ばれたこと」

 確かにこれらは、新たな自分とその人生に踏み出す原動力としては、大きいのかもしれない。しかし、それだけでもないような気がしないでもない。

 あくまでも原動力でしかなく、「決定打」というわけではなかったとしたら、他にどういった理由が考えられるのか。

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 TERUに断腸の決断をさせた強い理由と背景はなかったのか。TERUを衝き動かしたものは何か。

 結論を急がず、今一度、考察を加えたい。

似た者同士だった二人

 持ち前の甘いマスクで、TERUは少年時代から相当モテていたらしい。

 気さくな父、明るい母、三歳上の姉、四歳下の妹という五人家族の長男として、すくすく育ったTERUは、時折女の子に間違われるほどの甘いマスクを持ちながら、原辰徳に憧れ毎日白球を追う野球少年だった。

 さらに、家族全員、歌が大好きという家風もあってか、小四のとき町内ののど自慢大会に出場し、近藤真彦の『スニーカーぶるーす』を歌い三位に輝いている。列記しながら思うことだが一番モテるタイプだと思う。

 モテ度は中学、高校に進学してさらに深化する。

「丸刈りにしたくない」

 という至極真っ当な理由で、野球部からサッカー部に転向する。それと並行してバンド活動を始めると、ライブハウスに女子生徒が殺到した。また、学校の廊下をTERUが歩くと女子生徒の声が響き渡り、卒業式ともなると、引きちぎられるように学ランのボタンが消えたという。

 少年時代にモテていた男性は、成人してからも女性に対する免疫が高いといわれる。あまつさえ、姉と妹に挟まれた長男である。TERUにとって異性とは特別な存在ではなかったはずだ。

 筆者がこれまで見てきた中でいうと、この手の男性は少々の女性との関わりで、のぼせ上がることはほとんどない。むしろ、女性に対しシビアな目線を持ち続けることのできるタイプである。

 つまり、恋愛において、騎虎の勢いで突き進むことのない、冷静なタイプだと思われる。