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「私も被害者」レクサス急発進事故 元特捜部長の“放言”に裁判官もあぜん

「若い頃、ロッキード事件がありまして――」

 唐突に自分語りを始めたのは、自動車運転死傷処罰法違反などで起訴された元東京地検特捜部長で弁護士の石川達紘被告(81)。11月26日に東京地裁で行われた公判の最終意見陳述では、被害者への謝罪を早口で述べた後、ロッキード事件で関係者から聞いた話としてこう続けた。

「『新しい飛行機は不具合が生じる』『コンピューターは絶対ではない。最後は人が操作するのだ』と聞いた。釈迦に説法ですが、そのことを申し上げたい」

運転には自信があったという石川達紘被告 ©文藝春秋

 社会部記者が振り返る。

「車の暴走事故裁判でまさかロッキード事件を持ち出すとは思わず、傍聴人も裁判官も唖然とした様子でした。自分の車も不具合があったと言いたかったのでしょうが、今回の事案とは全く関係がありません」

 石川はロッキード事件などの捜査に携わり、1989年、東京地検特捜部長に就任。ゼネコン汚職など数多くの有名事件を手掛けてきた。名古屋高検検事長を最後に退官。以降は弁護士として活動し、様々な企業の取締役も務めてきた。

 その華麗な経歴が暗転したのは2018年2月18日のことだ。一緒にゴルフに向かう女性との待ち合わせの際に愛車のレクサスが急発進。通り沿いの金物店に突っ込み、歩道の男性をはねて死亡させた。

「誤ってアクセルペダルを踏み続けた」と主張する検察側に対し、石川は「天地神明に誓って踏んでいない」と無罪を主張。免許を返納しないという強気な考えまで明らかにしている。