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韓国・文在寅大統領の誤算 検事総長排除で世論の半数以上が「間違っている」

2020/12/08

「監察の結果、深刻で不適切な事案を多数確認した」

 11月24日、韓国の秋美愛法相(62)は尹錫悦検事総長(59)に対する懲戒を請求し、職務執行の停止を命じたと発表した。史上初の異常事態で、尹氏は執行停止の取り消しを求め、行政訴訟を起こした。

「政治的な妥協ができない」といわれる尹検事総長

 文在寅大統領(67)は今回の事態に沈黙を貫いているが、実は秋氏から事前に報告を受けたという。

「大統領が黙認、あるいは指示したことは間違いない」(与党関係者)

 だが、秋、尹両氏を任命したのは、「検察改革」を悲願とする文氏だった。その背景にあるのは、文氏が秘書室長として仕えた盧武鉉元大統領の死だ。盧氏は検察改革を試みたが失敗し、退任後の保守系の李明博大統領時代に検察の捜査を受け、自殺。左派には保守と近い検察への不信感が根強く、文氏は検察の権限を縮小しようとしてきた。

 昨年7月、文氏は尹氏を検事総長に抜擢。朴槿恵前政権の疑惑追及で活躍した経歴を見込み、「権力に厳しく臨んでほしい」と指示した。すると、尹氏は当時法相だった曺国氏を捜査し、辞任に追い込んだのである。

 そして、今年1月、文氏が曺氏に代わる切り札として送り込んだのが、秋氏だった。朴政権打倒に力を発揮し、突破力のある秋氏は、幹部検事に与党・進歩系とされる人物を多数起用し、指揮権を発動してきたが、与党がらみの捜査を止めることはできなかった。

 万策尽きた末の最後のカードが、尹氏の排除だった。韓国の調査会社リアルメーターが26日に発表した世論調査で、秋氏の措置が「間違っている」と答えた人が56.3%で、「正しい」の38.8%を引き離した。