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少女時代「Gee」を最初に観たのは……

近田 少女時代の「Gee」を最初に観たのは、ドン・キホーテの電化製品売場にあるテレビでした。パッと聴いた時、「何だこれ、カッコいいな」と思った。明らかにBoAの時代とは違いましたね。本格的にJ-POPがK-POPに攻め込まれたのは、確実にあそこからだったという気がします。

 どんな部分に魅力を感じたんですか?

近田 世界基準で新しいものとは何なのか、それが考え抜かれている。例えばファッションの世界で言うなら、その年の大きな流行の中で、一番新しいスタイルを作る。それが大事じゃないですか。今までとまったく違うものを作るんじゃなく、色合いやマテリアルの質感といったところで、新しさをアピールする。

 なるほど。

近田 メロディーやコード進行だけを取ってみれば、もしかすると過去に似たものはあったかもしれない。けれど、その全体をひとつのパッケージにまとめた時に周囲へと放つ質感が新しければ、それは昔とは違ったものと化すわけです。

Gee/少女時代(ユニバーサルミュージック)

彼女たちは何が新しかったのか?

 要するに、「何が新しいのか」じゃなく、「いかに新しいのか」という考え方をしているんですよね。

近田 そう! 新しさというのは、ひとつ前より新しければいいんですよ。そこに関して、韓国人はものすごくセンスがいいと思う。

 日本人は、「何が」新しいかを細かく分析する。オタクの人たちが「これは10年前にもあったから新しくない」とか細かく指摘したりするけれど、韓国ではそんなことは気にしない。いろんな要素を融合して「いかに」新しいかが重視されますから。

近田 少女時代のどこが新しかったかというと、具体的にはシンセサイザー。響きという要素はごくごく官能的なもので、家に帰ってじっくり考えてみて「あれは名曲だったな」と思うものじゃない。パッと耳に入った瞬間、カッコいいと思うかどうかだから。その反応を獲得するために、K-POPは、シンセの使い方をめぐってものすごい切磋琢磨を重ねている。ドメスティックなオタクたちの嗜好だけを追って作っている日本のプロデューサーとの違いを感じました。韓国の音楽界は、きちんと世界の動向を見回しながら、自分たちならではの作品を生み出していたんでしょうね。