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「かわいい」が求められ続ける日本のアイドル

 09年に本国でヒットした少女時代やKARAのMVを観ると分かるんですが、この頃はまだ、韓国のアイドルには、日本のアイドルに近いかわいらしさが求められていました。ところが、同じ年に発表されたBrown Eyed Girlsの「Abracadabra」のMVを観ると、その価値観から脱却している。化粧もダンスも、とても大胆なんです。要するに、アイドルというものが単なる商品ではなく、社会に何らかの変化を与える存在になった。それは、美意識やジェンダー観の変化だったりするわけです。しかし、日本の女性アイドルに求められるものは、現在に至るも変わっていない。

近田 「かわいい」という表現は、いわゆるロリータ趣味とは違って、よしよししたくなるような対象を指すんだけど、そういうものを魅力の一番上の方に挙げている国って、日本しかない。韓国の女の子たちを見ていると、みんな実際の年齢より大人びているんです。でも、日本のアイドルは実年齢より子どもっぽい。「かわいい」に重きを置くタイプの日本文化って、結局のところ、世界には伝わらないんじゃないかなあ。

Abracadabra/ Brown Eyed Girls(『SOUND-G』収録・Sony Music Entertainment)

 少女時代が日本デビューした頃までは、K-POPにとっての市場の頂点は日本でした。韓国のアーティストがオリコン首位を獲得するとニュースになったぐらいで。しかしその後、欧米の音楽界がK-POPに反応し始めました。日本的な「かわいい」なら、J-POPの中にいくらでも見出せる。じゃあ、K-POPは全然違う方向を目指そうとなった。

第一ステージと第二ステージの“断層”

近田 広い世界に目を向けたということですね。

 だから、その前後の少女時代のMVを観ても、09年の「Gee」と11年の「The Boys」ではガラリと雰囲気が変わっている。ビヨンセのような女性アーティストのあり方に慣れた世界を見据えているんです。

近田 強さを誇るということですよね。その点、本当に韓国と日本には違いがある。

 この狭間に、K-POPの第一ステージと第二ステージの断層があったんです。そして、12年になって、PSY(サイ)の「江南(カンナム)スタイル」が大ヒット。世界中の目をK-POPに引き付けることになります。