〈あらすじ〉
1933年2月、ベルリン。9歳のアンナ(リーヴァ・クリマロフスキ)は、ある朝突然、「家族でスイスに逃げる」と母から告げられる。演劇評論家でユダヤ人の父アルトゥアが、新聞やラジオでヒトラーを批判していたため、弾圧の危険を感じたからだ。アンナは大好きなお手伝いさんや、うさぎのぬいぐるみに別れを告げて、先に出国していた父と、スイスで無事に合流する。アンナが10歳になった頃、家族はアルトゥアの仕事のために、パリへ移住する。知人が一人もおらず、言葉もわからないパリで、一家はさらなる苦労を味わうことになる。
〈解説〉
絵本作家ジュディス・カーが、幼少期の体験をもとに著した自伝的小説『ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ』を、『名もなきアフリカの地で』のカロリーヌ・リンク監督が映画化したヒューマン作品。119分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆邸をはじめ、すべてを捨てての逃亡。その決断の確かさ。少女が主人公ゆえ甘さもあるが「ナチス物」はやっぱり見もの。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆背景の再現や子役の素質は眼を惹くが、視点が限られた物足りなさは否めない。亡命者の暮らしはもっと複雑なはずだ。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆ナチスの迫害から逃げ切っただけでも安堵の物語。どんな環境に置かれても挫けないアンナの強さと可愛さに目が釘付け。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆亡命一家の流浪の旅が陽性のトーンで貫かれる。激動の時代も身の丈サイズで、眼の前の現実を乗り切っていく様が魅力だ。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆少女アンナの目線で一緒に覗く第三帝国の世界。巧みな子役の演技。何処か現代的雰囲気が滲み出る背景や描写に固まる。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『ヒトラーに盗られたうさぎ』(独)
シネスイッチ銀座ほか全国公開中
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