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連載近田春夫の考えるヒット

TWICEとNMB48の新曲聴き比べでわかった「J」と「K」の違い――近田春夫の考えるヒット

2020/12/11

『BETTER』(TWICE)/『恋なんかNo thank you!』(NMB48)

絵=安斎 肇

 NMB48にTWICEと、日韓女子アイドルグループの新曲聴き比べである。

 テンポも――NMB48の方が若干早いが――似通っていて、DJが二曲繋げてかけても無理はなさそうだし、どちらも基本四つ打ちをベースとした作りというのも共通するのだが、これが案外思っていた以上に、本質は別物なのであった。

 それは音の捉え方/考え方の話、あるいは歌唱と伴奏(バックトラック)の関係に於ける、二者の持つ哲学の違いと申せばよろしいか。

BETTER/TWICE(ワーナーミュージック・ジャパン)2015年結成のK-POPガールズグループで、韓国人5人、日本人3人、台湾人1人で構成。

 皆さんもとりあえずネットで動画でもチェックしてみてくださいませな(ただだよ)。私のいわんとするところとは何なのか、たちどころに分かるかとも思いますんで……。

 誰もが音に感じるであろうことは、仕上がりの違いだ。いわゆる四つ打ち状態になった部分で比べてみると、一方はバックの演奏がひと固まりのキラキラした音になって、歌の後ろの方にいるように思えるのに対し、他方はひとつひとつのパートの音がよく聴き取れる。

『恋なんかNo thank you!』ではあくまで“主と従”にも思える“歌と演奏”の関係だが『BETTER』では、楽器類も決して裏方にはまわっていない。前に出て歌とタメで張り合っているのである(顕著なのがキックだ)。

 今週ほどjpopとkpopの音作りの違いが、何とも分かりやすく比較/確認出来る二曲というのもなかなかないので、今からでも遅くない。しつこいようだが、是非ネットでチェックしてみてほしい。

 それにしても『BETTER』のミックスのなんとも絶妙なバランスである。まずは先程も触れたキックだ。音色的にはいわゆる“ハウス系”によく用いられるものではあるのだけれど、トラックのなかでの仕事が完璧で、スピーカーで聴いてもヘッドホンで聴いても、そして、大音響でも小さーくしても、その重さと抜けの良さは変わらない。主張はあっても決して邪魔はせずという存在のありようは、見事だと思う。こうした感想をjpopのキックに持ったことは残念ながらあまりなかった。

 それは実は一人キックに限ったことではない、トラックというもの全体にもいえることなのかもしれぬなと。今回二曲を聴き比べるうち、そんな気持ちにもさせられていった。

 当初はさほど開きもみられなかった両国の音作りの姿勢であったが、今や両極的といっていいほどまでに、方向性の違いを感じさせるようになった。どちらが優れているかはさておき、商品としての国際性という視点で申せば、もはや我が国など眼中にないであろうkpopの快進撃ぶりである。それを思うとき、その――jpopにはなかなか見られぬ――歌以外の要素にも思わず耳のいってしまうサウンドプロダクションというものの寄与した部分は、かなり大きかったのではないかと……。

恋なんかNo thank you!/NMB48(laugh out loud! records)1期生の吉田朱里がセンターを務め、本作を以てグループを「卒業」。

 NMB48。

 しかし、歌詞のクオリティならばダントツでこちら。必ずネットで見比べてみてね!

今週の一杯「医者に『少し酒を控えろ』と言われたんだけど、“少し”控えるって難しいよね」と近田春夫氏。「いっそのこと一滴も飲まない方が楽なんじゃないかと思って、断酒し始めて早2週間。代わりにノンアルビールの飲み比べを始めました。“尿酸値が下がる”と謳う商品もあるけど、普通のやつの方が美味でした。そんなうまい話、あるはずないよね」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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