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日本から祭りが“消える”日 「三密不可避」な日本の伝統の行方

2021年の論点100

2021/01/02

「祭りのない夏」。テレビやネットニュースなどでどれだけこのフレーズを聞いただろう。いまや「祭りのない秋」どころか、冬の「秩父夜祭」も規模が縮小されてしまった。

 新型コロナウイルスの影響で、3月以降現在に至るまで、あらゆる祭りやイベントは、ほぼ全てが中止・延期・規模縮小・「神事/法要のみ開催」に追い込まれている。

「神事/法要のみ開催」は、神職や氏子総代など祭礼関係者のみによって祝詞や神楽や読経などを行い、疫病退散や豊作などを祈願する。感染拡大防止のため、こうした神事・法要は通常、非公開で行われ、我々一般の人にとって、祭りを見ることすら不可能となっている。

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 神輿があがったり、踊りのパレードや豪華な山車が町を練り歩いたり、夜店が出たりといった、一般的な祭りの賑わいは2020年、ほぼ全面的になくなった。

 これだけ祭りが一斉に中止となったのは、第2次世界大戦や昭和天皇崩御、東日本大震災など以来だといわれている。

 なぜここまで全ての祭りが中止なのか。新型コロナウイルス感染予防のために求められる「新しい生活様式」と、祭りやイベントがとことん相性悪いからである。

 祭りやイベント開催のためには「三密(密閉、密集、密接)」はどうしても避けられない。ソーシャルディスタンスを保ち、担ぎ手同士2メートル離れて神輿を上げようとしても、上がるわけがない。曳き手たちが距離を保ったら、綱を持てる人が少なくなり、山車などは動かない。

 そもそも、祭りのクライマックスには、大勢の見物人が狭い会場で密集する。さらには、祭りの準備、踊りやお囃子の稽古、寄り合いや懇親会など、公民館や神社境内や居酒屋などで密集が避けられず、クラスターになりかねない。