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「ゆくゆくはAVに出演させるつもりだ」スポットライトの裏で搾取される“底辺声優”たちの苦悩

2020/12/09

 鬼滅映画が空前絶後の大ヒットを記録した陰で、“底辺声優”に注目が集まった。きっかけは、今年2月に元声優の泉水みちるさんがnoteに投稿した「底辺声優の所感」という記事。声優養成所の内側で苦悩する若者の姿を赤裸々に綴り、大きな反響を呼んだ。

 今や30万人も存在するといわれる声優志望者たち。なぜ現代の若者たちはこれほどまでに声優に熱狂し、そして夢破れていくのだろうか?

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 まずは、日本における声優の歴史的背景を探ってみたい。

 日本の“声優第1号”は、1925年にさかのぼる。その年に開局した社団法人東京放送局(NHKの前身)が、ラジオドラマの研究生として採用した12名の女性たちがそれだ。戦後の’56年になると、東映動画によってアニメ映画がコンスタントに製作されるようになり、60年代に海外ドラマや洋画の吹替版が数多く放送されたことで声優の需要は急激に高まっていった。

 70年代後半から80年代にかけては群雄割拠のアニメブームが到来。そんな最中の’78年にアニメ専門誌『アニメージュ』が創刊され、“声優のアイドル化”が打ち出されるようになる。90年代に入るといよいよそれが具現化。’94年には初の声優専門誌『声優グランプリ』および『ボイスアニメージュ』も創刊され、’97年には椎名へきるが声優初となる日本武道館単独コンサートを開催している。

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アイドル化が進んだ声優の世界

 2005年の『電車男』くらいを境にオタクカルチャーが一般化。’06年の『涼宮ハルヒの憂鬱』をきっかけに平野綾がアイドル化したのは記憶に新しいだろう。子供の「なりたい職業ランキング」上位に声優が入ってくるようになったのもこの頃だ。そして10年代には、武道館で単独公演を行う声優やユニットが当たり前となり、ソシャゲやVTuberの勃興とともに、ゲーム実況、音声配信系アプリなど、ITによって誰でも声を通じて表現をすることができる時代になった。