大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺・前代表(87)が自民党衆院議員の吉川貴盛・元農林水産相(70)に対し、大臣在任中に3回にわたり計500万円を提供した疑いがある問題。金銭授受を示す重要な証拠とされるアキタフーズの内部資料を、「週刊文春」が入手した。
問題の資料とは、アキタフーズのレポート用紙に記された帳簿と、同社の秘書が控え用に記録していた手帳のコピー。いずれも、東京地検特捜部も押収していると見られる内部資料だ。
例えば、帳簿には、〈H30 3/22 500,000 1,000,000〉〈3/30 1,000,000〉などと、日付と支出したとされる金額が記載されている。
「お金が支出された一両日中に、秋田氏が面会した政治家が現金を受け取ったと見られ、捜査が進められています。秋田氏のスケジュールと照らし合わせ、浮かび上がったのが、元農相の吉川氏でした」(捜査関係者)
現金授受の可能性が指摘されているのは、2018年11月。鶏卵業界では当時、より良い環境での飼育を目指す「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に関する国際機関の基準づくりが進んでいた。秋田氏は同年11月12日、業界団体の幹部として大臣室で吉川氏や、農相経験者の西川公也内閣官房参与(当時)らと面会し、この国際基準の内容に政府として反対するよう求める要望書を提出するなどしている。
帳簿によれば、〈H30 11/20 2,000,000〉と記されている。一方で、手帳によれば、2018年11月21日に〈18:00 吉川大臣〉と記されているのだ。
「秋田氏は吉川氏と面会した際、『業界のために動いてほしい』と伝えていたそうです。周囲には吉川氏への現金提供を認めており、『違法な金だった。だから2人で居る時に渡した』などと漏らしています」(検察担当記者)