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経産省ファンドが7億円出資の企業 社長が“架空取引”で辞任していた

 経産省が所管する官民ファンド「INCJ(旧産業革新機構)」。液晶パネル大手「ジャパンディスプレイ」をはじめ、経営再建を目指す企業に出資してきた。

「そのINCJが出資する企業で、“架空取引”が発覚したのです。社長やCFOらが辞任に追い込まれる事態に発展しました」

 そう明かすのは、経産省関係者だ。

経産省 ©文藝春秋

 問題の企業とは、医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」などを運営する「エンブレース」(東京・港区)。代表取締役社長だったM氏は日本IBM出身、取締役CFOだったA氏は旧通産省(93年入省)の出身だ。

「エンブレースは『地域包括ケアというニーズに対する新たな仕組みを構築』などを理由に、INCJから16年に4億円、18年に3億円の出資を受けました。ところが以降も業績は悪化の一途を辿り、民間調査会社のデータによれば、20年4月期は約4億3000万円の売上高に対し、5億円超の赤字を計上しています」(同前)

 厳しい状況に危機感を抱いた経営陣。手を染めたのが、“架空取引”だった。

「架空の売上高を創出するために、複数のソフトウェア会社から実体のないコンサル業務を受注。その一方で、受領したコンサル料を返還するために、実際に必要な金額を大きく超えた金額で開発委託を行っていました。“架空取引”の総額は1億円前後になると見られます」(同前)