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「中国政府の思うままに裁かれてしまいます」…香港・周庭さんの“予言”と“日本欠乏症”

2020/12/16

 香港の周庭(アグネスチョウ)さんが12月2日、「無許可デモを扇動し参加した」との罪で有罪となり、禁錮10カ月の実刑判決を受けた。24歳の誕生日の前日のことだった。

 10代の頃から知っている彼女と最後にゆっくり話したのは昨年5月。逃亡犯条例改正反対運動が本格化する直前で、香港の喫茶店で待ち合わせた。

「日本に行きたい。パフェを食べたい。カラオケもめちゃしたい。抹茶スイーツが食べたい」とまくし立て、「日本欠乏症です」と笑う。

11月に大学を卒業した周庭さん(本人のインスタより)

 アニメで学んだ日本語は相変わらずだったが、「民主活動家」らしくなった彼女はこう危惧していた。

「改正案が通れば司法の独立がなくなり、香港で捕まった人は中国政府の思うままに裁かれてしまいます」

 残念ながら懸念通り、彼女自身が強引な司法によって裁かれた。今回の判決は、過去の類似の案件に比べてかなり重く、異例だ。容疑となった昨年6月21日の警察包囲デモを私は見ていたが、彼女は数万人の若者と一緒に現場にいただけに過ぎず、しかも途中から道端に座り、背中を丸めて眠ってしまった。「扇動した」と言える行為はなかったはず。司法関係者も論理的に無理があると呆れる判決で、香港の「司法の独立」は失われつつあることを強く実感させられた。

 周庭判決翌日には民主派の論陣を守ってきたアップル・デイリー紙の創業者、黎智英(ジミーライ)氏も詐欺罪で収監。良質な報道を貫いてきた香港有線テレビでも報道部門の記者40人が一斉解雇された。「言論・報道の自由」も風前の灯である。