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「アスリートが五輪をやりたいはワガママ」……“本音ランナー”新谷仁美の言葉力

2020/12/13

 12月4日、陸上日本選手権の女子1万mで、従来の記録を28秒45も更新する超人的な日本記録を叩き出し、東京五輪代表に内定した新谷(にいや)仁美(32)。19人を周回遅れにした走りはもちろん、記者たちを驚愕させたのが、インパクト抜群の“言葉力”だ。

レース後「スッキリした」と喜んだ新谷 ©共同通信社

 今年1月、ハーフマラソンで日本新記録を出した際は「理由があるとすれば、ラスト5キロは漏れそうだった」と“珍発言”。以前もレース前に「好みはイケメン、金持ち、年上。世の男性を虜にするような走りをしたい」など天真爛漫なコメントを連発していた。

 今回もレース後に課題を聞かれ、「スタート前に恐怖で泣いてしまうことがある。でももう32歳。泣かずにスタートラインに立てるようになりたい」と真顔で言ったかと思えば、「アフリカ勢が強いが、日本人でもやれると証明し、ギャフンと言わせたい!」と強気な姿勢も忘れない。

 ただ、プロ意識の高さは際立っており、「お金で命を買われている身。どんな手段を取っても結果を出さないといけない」とキッパリ。昨年の世界選手権で11位に終わると「日本の恥」と自分を責めていた。

 その経歴は山あり谷あり。岡山・興譲館高校時代は全国高校駅伝で3年連続区間賞に輝き、社会人1年目の07年に第1回東京マラソンを制覇。24歳でロンドン五輪に出場して1万m9位、13年モスクワ世界選手権で同5位入賞と、日本のエースとして活躍した。