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何年も経ってから障害が…“農薬大国”日本の現実 「見えない毒性」から身をも守るためには?

2021年の論点100

2021/03/12

 かつて“中国猛毒食品”について取材したことがある。実際、中国の現場では大量の重金属に汚染された畑で栽培されていたりと驚きの連続だったが、実はその頃から、国産食材も危ないと言われていた。それを改めて確認したのが、2018年に出た北海道大学の池中良徳准教授らによる論文である。日本人なら毎日のように飲んでいるお茶から、農薬が検出されたと書かれていたのだ。それも、スーパーで購入した茶葉39検体の全てから出ただけではない。量は少ないが、ペットボトルのお茶からも全て検出されたという。とても信じられなかった。もっとも、数値は国が設定した残留基準値内だから違反ではない。「だったら安全でしょ?」と思うかもしれないが、そうとも言えないから問題なのである。

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 いったい日本はどれほど農薬を使っているのだろうか。そこで、単位面積当たりの農薬使用量をOECD加盟国で調べたところ、なんと日本は、韓国と並んで大量使用国であることがわかった。もっとも、実質トップはOECDに加盟していない中国だが、数値に大きな差があるわけではない。

 農薬が本格的に使われるようになったのは戦後だ。最初はDDTなど有機塩素系だったが、1960年代に入ってその毒性が明らかになると、入れ替わるようにして有機リン系殺虫剤が登場した。ところが、子供の脳に影響を与えることがわかり、EUなどは早々にその多くを禁止したが、なぜか日本では今も大量に使われている。そして90年代に登場したのが、昆虫に強い神経毒性を持つネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ)である。ネオニコが使われると世界各地でミツバチが群れごと消えて問題になったが、やがて人間の脳にも影響して神経伝達を攪乱する神経毒性があることが分かり、使用を禁止する国が相次いだ。が、これも日本は禁止するどころか、さらに残留基準値を緩和して使いやすいようにしている。