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たった1人の感染者が地方都市にコロナを持ち込むとどうなるか?《島根で実際に起きた“舞台クラスター”波及騒動》――2020 BEST5

知事が会見、関係施設は封鎖、600人がPCR検査、広まるデマ……

2021/01/06

2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。シェア部門の第4位は、こちら!(初公開日 2020年7月23日)。

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 新型コロナウイルスは、感染の勢いが収まらない東京だけの問題ではない。感染者が滅多に出ない地方でも大きな影響を受けているが、特に感染した本人が受ける心理的なダメージは首都圏以上かもしれない。

 一人の女子大生が東京でコロナに感染して帰宅したことで、知事は緊急会見を開き、大規模なPCR検査が行われ、通っている学校は閉鎖。地元では尾ひれが付く噂が広がる……。そんな大騒動がいままさに起きているのが島根県だ。

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新型コロナをめぐって騒動が起きた島根県出雲市。中央は出雲ドーム(筆者撮影)

2カ月ぶりだった県内コロナ感染者の発覚

「たった1人のために1000人が検査することになった。その子は無症状なのに! 今、こっちは蜂の巣をつついたような騒ぎになっている」

 興奮した様子で、島根の知人男性から筆者に電話が入ったのは、7月15日のことだった。